第21話:生き返った瑠奈。
「このまま亡くなった時の時間さえ過ぎてくれたら・・・」
時間が過ぎるのってなんて長く感じるんだ。
「大丈夫かな、叶多」
「うん・・・時間さえ過ぎてくれたらしばらく様子を見て瑠奈を起こそう」
「幽霊の自分を見て頭がパニクってるだろうからこれまでの経緯をちゃんと
説明してやらないとな」
何事もおきることなくようやく瑠奈が亡くなった時間が過ぎた。
「瑠奈・・瑠奈、起きろ・・・起きろって」
「起きないと顔中舐めるぞ」
「んん〜・・・んん」
「起きろって」
「あ・・・え?、叶多・・・ここでなにしてるの?」
「よかった、ちゃんと生きてる・・・な、瑠奈、おまえ生きてるよ」
「なに言ってるの?」
「生きてるんだよ瑠奈・・・」
そう言って俺は幽霊の方の瑠奈を見た。
「さよなら、叶多」
「生前の私が死ななかったんだから幽霊の私はもう必要ないよね」
「瑠奈・・・消えるのか?」
「みたいだね、でも心配いらないから私が幽霊だった時の記憶は
生きてる私に移しておいたから・・・だから全部覚えてるからね」
「じゃ〜ね、叶多・・・エッチしようね」
そう言うと幽霊だった瑠奈は消えていった。
「ありがとう瑠奈・・・ありがとう・・・なんか複雑な心境」
「さてと・・・こっちの瑠奈を放っておけないよな」
「だいたい分かる・・・今まで起こったこと、分かるよ、私」
「幽霊だった瑠奈が、自分の記憶をおまえに移したみたいだからな」
「とりあえずあの世の門まで帰ろう」
俺と瑠奈は刻時計を使ってあの世の扉まで無事に帰って来た。
「お、帰ってきたか?」
「叶多・・・この子は?・・・死なずに助けることができたのか?」
心配そうに
「大丈夫・・・大成功、瑠奈は助かったよ
「叶多さん、よかったですね・・・おめでとうございます」
「
「はい、他人事とは思えなくて、喜ばしいじゃないですか・・・」
「
「あはは、人じゃなくまだ幽霊ですけどね」
「じゃ〜叶多と瑠奈、お前らふたりさっさと現世に帰れ」
「
「私は
「あとで叶多のマンションで落ち合おう」
ってことで俺は生きた生の、もう幽霊じゃない瑠奈を連れてまた電車に乗って
現世に帰って来た。
電車を降りた俺たちはそのまま駅舎のベンチに腰掛けた。
「ちょっと疲れた・・・」
「私のためにごめんね」
「なに言ってんだよ・・・俺は一生幽霊の瑠奈と暮らすんだって思ってた」
「でも、奇跡が起きたんだ・・・俺は今、無性に嬉しいよ瑠奈」
正真正銘のあの時、屋上ではじらいながら俺に自分の想いを告ったあの
瑠奈が帰って来た。
「瑠奈、覚えてるか?」
「ぜ〜んぶ覚えてるよ、叶多・・・なにもかもぜんぶ」
「そうか・・・よかった」
だからこれまでのことを瑠奈に説明する必要はなくなった。
俺は嬉しすぎて思わず瑠奈を引き寄せて抱きしめた。
「絶対離さないから・・・二度と瑠奈を死なせない」
「叶多・・・」
とぅ〜び〜こんて乳。
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