第5話商品会議inインターンシップ2
「さて、じゃあ、どんな商品にします?」
高見さんが問いかけたくる。
「とにかく、自分が食べたいもの、欲しい商品をあげていって、どんな商品がいいか、話し合って決めませんか?」
俺はそう答えた。話し合いの場は、色々な意見があってはじめて、成り立つものだと思う。3人で意見を出し合わないことには、先へ進みにくいだろう。そう、これはタイムスリップしてくる前、勤め先の会社でたまたま聞こえてきた部下の会話、、、
「佐藤さん、部下の意見聞く気あるんですかね(笑)」
「あー、ないと思うよ?今日もずっと一人でしゃべってましたし」
「ですよね~」
、、、別に一人で進めようとしていたわけでも、一人でしゃべっていたわけでもない。
部長の、「何か意見ある?」という質問に、誰も声を上げなかったから、部長の機嫌を取るためとか、会議を進めるためとか、そういう理由で頑張っていたのだ。
しかし、若い子には、それが「一人で勝手にしゃべってた」と思われてしまったようだ。
だから今回は、俺からもちゃんと意見を聞こうというわけだ。
「スイーツなんかどうですか?」
高見さんが意見を出してくれた。ひとまず、意見がちゃんと出たことに安堵した。
「いいですね、スイーツ。最近はコンビニのスイーツも人気ありますよね」
素直にいい案だと思う。そもそも俺は、10年後に消滅してしまうアリガKストアーを救うためにこの入社試験に参加している。そしてこの新商品のプレゼンで高評価を得ることができれば、実際に販売されるかもしれないのだ。
なら、アリガKに足りなかったものを考えて高評価を取り、実際に販売するところまで持っていくことができれば、入社する前からその目標に一歩近づくはず。
そしてアリガKは、若者向け、女性向けのスイーツには弱かった。タイムスリップしてくる前の世界では、ちょうどこのくらいの時期に累計2億個の売り上げを達成したヨーソンのロールケーキに対抗して、「誕生日もアリガK!」のキャッチコピーで、ホールケーキの販売をしていた。ある日突然できたホールケーキのコーナーを見たときは、「さすがにやりすぎじゃね?」と思ったが、、、案の定すぐ無くなった。
今思えば、あれは消滅への1歩だったのだろう。
だから、そんなことにさせないためにも、ぜひともおいしいスイーツを考えたいところだ。
「僕もいいと思います」
番田さんも賛同してくれた。
「それでは、僕たちの考える商品は、スイーツということで行きましょう!」
俺たちはこうして、スイーツの開発を進めることとなった。
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