掌編・『認知症』 ＃認知症予防の日

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　　　「え～本日は、お忙しい中、国語審議会にご参集いただき、まことにありがとうございます。以前より、さまざまな公用表現の、適宜な変更というか、差別的なニュアンスのある言葉の言いかえを行っておりますが、今日は、「痴呆」を、俎上に上して討議していただきます」

「異議あり！この場合に「俎上」は若干不適当でないですか？単に「論題」か「テーマ」でいいんでは？　そもそも「…が、ターゲット」みたいな、いじめを連想させる表現は差別助長だろ？」

　「失礼しました。さすが国語に厳しいみなさんですね。「言葉狩り」なんていう批判もあるし、デリケートで厄介な…いや難しい問題ですな」

「痴呆はなくならないし、これからますます増える。不治の業病とかは、昔から呼称に変遷あるね。らい病はハンセン氏病。とか。分裂病は統合失調症。ノーマライゼイションの流れか…　LGBTQとかもカミングアウトする人多いですね。痴呆の人でもいじめにあわないのが第一で、呼称変更だけではお役所仕事だが…」

「『アルジャーノンに花束を』ていう小説に、「身体障碍にはわりかし尊敬払うのに知的な障害の人に世間はきびしい」なんていう議論あるね」