注射ですわ

「わたくしはいま、絶海の孤島にてこの手紙をしたためているのでございます。話せばとても長くなるのですが、はあ、あれは確か……」


「盛るのはおやめなさい、サタナエラ」


「アザゼラお姉さま、注射ですわ」


「朽木はさきほど、一回目を接種してきたようですね」


「シェミーが思うに、万が一に備えての注射ですわ」


「絶妙に伏せるのはおよしなさい」


「念のためにございますれば」


「打ってからまだ2時間程度ですが、熱が出、頭が痛み、汗が止まりません」


「ダリオ風に言わないでください」


「スーパーダリオファーザーズ」


「怒られますよ」


「おとなしく安静にしていることですわ」


「お世話になっている方々のためなれば、甘んじて」


「表現者の鑑だ……」


「かまちーの伝説を覆したいというスケベ心です」


「台無し!」


「それも含めて朽木節ですよ」


「ファンならご理解いただけるでしょう」


「わたしがこの駄文を書くのには意味があるんです!」


「クリントの映画風に言ってもダメですよ」


「ああ、俺の命が、足もとから消えていく……」


「あおるでない、読者が心配するでしょう?」


「もしくは仮病だと疑われます」


「力を求めて銀河の龍脈へ」


「こんなときになんつーマニアックなネタを」


「謝れ、渋谷さんに謝れ」


「使いものにならなくなったらどうしよう……」


「心配するところが違うかと」


「むしろ少しくらいおとなしくなってくれたほうが」


「なんという会話であることか」


「ああ、いまわれわれは、朽木の生物学的存在について憂慮しているのです」


「おまえのなどいらんわ」


「酷!」


「おまえのモジョはもらったじょってんだこの野郎!」


「ファットバスタード……」


「青春の映画ですね」


「山ちゃんにちかってこの場は耐えぬきます」


「回復したあかつきにはたっぷりとぬ」


「こらああああああっ!」


「こんなアホなことができているうちは大丈夫ですがな」


「せやかて工藤!」


「しててん」


「人間風情が!」


「コナンからのガンダム、しかもダブルオー!」


「トランザム、発動しますか? それとも人間、やめますか?」


「プラズマで消し炭だお」


「ひっぱりますね~」


「早く横におなり」


「おな」


「わあああああっ!」


「体調不良だってのに危ない橋渡ってんじゃねえ!」


「すべてはわが読者のためなれば……」


「いったい誰がしゃべってるんですか」


「心の声?」


「わかります」


「ま、そろそろ休みますか」


「仕事を休むハメになり、給料が減ります」


「有給は取ってるのか?」


「あるかよ、そんなもん」


「黒!」


「組織」


「戻すな」


「苦痛フェチの強さ、見せたる!」


「おんなしだ……」


「だったらイケるぜ!」


「ちっ・はっ・るっ!」


「素人丸出し!」


「丸出しなのはむしろ……」


「こらああああああっ! そして寝ろおおおおおっ!」


「はい」


「ずぎゃおらあっ!」


「棺桶に入ります」


「ブラック!」


「組織」


「戻すな! そしていつ終わるんだ!」


「はい、はい、はい~っ!」


「なんばしよっとか?」


「オラにけぇれってかあ?」


「寝るだよ! 朽木さ!」


「そのまえにじゅうべぇかめは」


 強制回収。


「うるさいのがいなくなったところで」


「せ~の」


「ほほほ、はあ……」


(というわけで休みますのだ)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る