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次の日からも、男の子は私と同じ時間の電車に乗りあわせてきた。
もっとも、向こうは私のことなど意識なんてしていない。いつもと同じ電車を選んで乗っているだけだろうが、私にすればイケメンを朝から見られてほんのちょこっと得した気分。
毎日観察していると、男の子のことが少しだけどわかってくる。服装はやはり、私が思ったとおりの、ちょっとおしゃれな古着まじりのアメカジテイスト。下北沢とか高円寺とか、そんな雰囲気。
トップスは、フロントジップのパーカーとか、ナイロン素材のアウターとか薄手のスタジャン。ボトムスは細身のデニムや黒いパンツが多い。
いつも履いているワークブーツは、レッドウイングのアイリッシュセッター。浅い茶色の875番。これは乗車のときに見えた。ついでにほんのりたばこの香りがただよった。
バッグは例の、使いこまれたグレゴリー。じゃらじゃらしたアクセサリー類は身体のどこにも身につけず、春らしい色のトップスをパンツに合わせてチョイスしている。
なんというか、シンプルの延長線上にあるおしゃれ。そんなふうに表現するべきジャンルなのだろう。男の子にしては、いっぱい服を持っている。
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