帰還

 レジスタンスのメンバーと接触をし、そのまま傭兵たちと共にカルミア王国を後にしてニルシア小国へと戻ってきた僕。


「……えげつないなぁ、ニーナ」

 

 そこで待っていたのは真っ赤に染まった大地であった。

 ニーナの大剣によってただのたんぱく質の塊に変えられた肉塊が地面に転がっている。

 その肉塊より湧き上がっている匂いは醜悪の一言だった。


「……うぇぷっ」


 こういうのにどこまで行っても慣れ切れていない僕は口元を抑えながらこのエリアを抜けていく。


「……大丈夫ですかい?」


「大丈夫。僕も殺している側だからね」


 傭兵たちに心配されるようじゃおしまいだよね。

 僕はおしまいです。


「はぁー、上に立つ者としては情けない姿を見せられないのにね」


 どれだけ生きても、こればかりは前世の知識を引きずっているせいで、一歩引いてしまうだろう。


「まぁ、これだけ転がっていたら仕方あるなしでしょう。うちらのところの野郎どもも大きな戦地に行けば全員がたじろぐってものよ」


「……ありがと」


「それで?これからどうしますかい?」


「一旦は全体に合流するかな。それで、今後のことを考えていきたい」


 何時までも単独行動を貫いているわけにもいかない。


「君たちの雇い主はあくまで自分の妹であるニーナだからね。ずっと、君たちを拘束しているわけにもいかない」


「そういえば、そうでしたね。俺らのトップはあんたじゃねぇや」


「そういうこと。ニーナの方も使うかどうかは知らないけど……」


 ニーナ、あまり人を使うのは好きじゃなさそうな人間なので、傭兵たちを欲しているかどうかはあまりわからないけどね。


「でも、これでうちらのトップはあんたじゃなくなるのかい」


「僕以外が上に立っているときはその粗暴なところとかも気をつけろよ?適当な貴族の怒りを買うなよ?」


「そうなったらあんたの力を借りますわぁ」


「図々しいやつらめ」


 僕は色々と傭兵たちと話をしながら、ニルシア小国の前線本部の方に戻っていくのだった。

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