第55話 俺ニート、決戦!恩師の報い!

俺は覚悟を決めて、銃を構えた。




「ごめんなさい!アリスさん!」




俺は不本意ながらも、先に待っている勝利のため、


一発の弾丸を発射した。


今回は割と近い位置で放った!これは避けられない!そう思った。




バシーーーン!




(……!?)




「残念でしたね!淳一さん!そういう方法では私は倒せませんよ!」




「なっ!?弾が弾かれた!?」




「私の正体を明かしましょう。私は魔法タイプなんです。淳一さんはこれまで銃と剣タイプとしか戦ったことがないですよね?だから新鮮に感じたと思うんですけど、こういう人もたくさんいます」




(…………)




弾が効かないなんて……もはやチート過ぎるだろう!




「今度はこちらの番ですね!私もあっさりと負けられる人じゃないので、全力でやらせて頂きます!」




(……!?)




「はぁーーーーーーーーーーーー!」




相手は突如叫びだしたかと思うと、頭上に大きな炎が生成されていった。


これが魔法だと!?こんなRPGの世界でしかないことが、どうして現実で起きるんだ!




(なんとかしなければ……)




「淳一さん!私の一撃を食らってください!」




(……!?)




次の瞬間!大きな炎は俺に目掛けてすごい速さで突っ込んできた!


だが!今の俺ならそんな攻撃を避けることはできる!


俺はとっさに左に避けて、無事かわすことができた!……が!




「……ぐはぁ!」




突如左の太もも付近に激しいダメージが!


俺はすぐに痛みの発生場所を見てみた。すると……


『大きな氷柱』が俺の太ももに刺さっていた。




「いっ痛てぇーーーーーーーーーー!」




氷柱が刺さった場所からは血が出ていた。


そしてずきずきと痛んでいた。




「んぐっ……くぅ」




ダメだ……俺はもう立ち上がれる力すら残っていなかった。


俺が今まで味わったことのない、敗北が決まった瞬間であった。




「淳一さん……残念ですが、ここまでのようですね」




(…………)




相手は複数の魔法を同時に使える上、属性の違うものまで同時に出せる。


こんな相手に銃で叶うはずがない。




「……そして」




(…………)




なんだろう……?相手は最後に何かを語ろうとしているのか?


まあ……今までお世話になったのだから、最後ぐらいきれいに終わりたいよな。


円満な形で死を迎えるのが、最後の抵抗って所だろう。




だが、俺が予想していた言葉の続きとは、全く違う言葉が返ってきた。




「私も……ここまでのようです」




(……?)




「どうしたんですか……俺はもう負けたんだ。体が動かない。俺は男だ自分の死ぐらいちゃんと向き合いますよ」




「私はさっきの魔法で、もう攻撃の手段を失いました」




「……どういうことですか?」




「魔法タイプは強力な魔法が撃てる代わりに、3回までしか使えないんです」




「……なんですって!?」




「だから淳一さん、これは私の負けなんです。もう一切攻撃できません」




(…………)




「淳一さん、あなたは勝ったんです。先ほどの攻撃を避けた時点で。あなたの勝ちは決まりました」




「しっしかし……俺も負けています。だって痛くて動けないから……」




「ふふっ……じゃあ特別に今治療してあげます!」




(……!?)




その直後、アリスは俺の元に近づいてきて、傷の手当てをしてくれた。


おかしい……!こんなのおかしすぎる!


アリス……君は間もなく死ぬんだぞ?なんで人のためにここまでできる?




「これで傷の手当てが完了しました。これで動変えると思いますよ!」




「……はい。おかげで痛みが引きました!」




「良かったです!じゃあ私を撃っちゃってください!あなたのおめでたい昇格の瞬間を!」




(…………)




「アリスさん……こんなのおかしいじゃないですか」




「どうしました?」

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