第51話 俺ニート、Sに関する重要な手掛かりを入手する

スピアルが嘘をついている可能性はもちろんある。


だが、今のところ嘘を証明することはできない。


では完全に信じてみるか?スピアルを犯人から外す……?


……だがそうなると、誰がSなのかがわからなくなる。




全く会ったこともない人が、Sということになるのだろうか?


迷った末、俺が導き出した結論は……




「わかりました。スピアルさんがSではないと言ってくれたことを信じます」




「ありがとうございます」




「いえいえ、お礼を言うようなことじゃないですよ」




そうだ……俺は大きな事実を見落としていた。


そもそもスピアルだって、今初めて直接会ったのだ。


それはつまり……赤の他人も同然の存在だった。


つまり俺の、知らない人は犯人ではない理論に、含まれていたんだ。




「それじゃあ僕は、そろそろ帰ってもいいですか?」




さて、本来の要件が済んだものの、このまま終わるのは少しもったいない気がした。


俺は言うことは禁止されている!と言われる覚悟で質問してみた。




「待ってください!もう1つ質問させてください。村上大地さんは、どんな方ですか?」




「とても頭がいい感じですかね。知的な方という感じです」




まあそれは間違いない。ネットで知り合った赤の他人に、


リバーサル社のことを教えてくれたり、スピアルが来るようにお願いしてくれた。




「そうですね!俺も同意見です。ネットで知り合ったときお世話になったんです」




「そうですね。その話は村上さんから聞いています。僕もよくお話するのですが、すごく頭がいいなあと感じていまして……」




なんだ……スピアルって結構話しやすい陽キャっていう感じの人じゃないか。


ジョナサンが言ってた大人しいとはなんだったのだ。




「今日も彼女とUtubeの動画について話していまして」




ジョナサンはどんなUtube動画を見るんだろうな……


ん……ちょっと待てよ!




「スピアルさん!今の言葉もう一度言ってもらえますか?」




「えっ!はっはい……動画について話していまして」




「その前です」




「Utubeの動画に……」




「もっと前です」




「今日も『彼女』と……」




(……!)




なんてことだ!ジョナサンって女だったのか!


名前を聞いて絶対男だと思ったわ!そして僕っ子だったのか!




「村上さんって女なんですか!?」




「はい、そうですよ」




「いやいや、名前!大地っていう名前はどう考えても男じゃないですか!」




「あー……それはですね……村上さんはネットでは絶対に本名を名乗らない人でして……」




「じゃあ偽名ってことですか?」




「そうなります」




あいつめ嘘をつきおった!まだ俺のことを信じていないのか!


なんか裏切られた気分でショックだ。




「それに僕男ですよ?村上さんが男なわけないじゃないですか!」




「ん?どういうことですか?」




「三上さんはまだ、知らないんですかね?」




「……?」




「リバーサル社の規定にて、担当者は『利用者と別の性別の人』が対応するんです」




「つまり俺の場合は、女性が担当者になると……」




「はい」

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