第9話 俺ニート、初戦前の最終確認をする

「あとは夜になるのを待つだけです」




「夜になにかあるんですか?」




「夜の22時ジャストになると、異空間のゲートが開きます。このゲートの名前は『バトルゲート』と呼びます」




「そのバトルゲートはどこにあるのですか?」




「こちらです。さっき服の登録をしていたときに、一緒にバトルゲートの設定も終わらせました!」




俺は案内された部屋に移動した。


その場所は物置みたくなっている、あまり使われていない部屋だった。




「ああここですね。物がたくさん置かれていて、移動しずらかったでしょう?それは申し訳ないです」




「いえいえ大丈夫ですよ。それで22時になったらこの部屋に来て待機してください。遅れると失格になるので絶対に気を付けてくださいね」




「わかりました」




5分前行動を心がけて遅刻するな……か。


まるで会社のルールみたいじゃないか。




「ひとまずゲームの前に、話さなければならないことはすべて話しました。あとはその時に追々話していく感じになると思います」




「そうなんですね」




「なにかゲーム前に、話しておきたいことはありますか?」




話しておきたいことか。俺は少し考えた。


その時、昨日の親からの手紙のことを思い出した。




「こんなことを話すのもなんですが、俺が契約した理由についてなんですけども」




「契約した理由ですね。何かあったのですか?」




「実は俺が契約をした理由は、親からの手紙が理由だったんです。1週間以内に仕事を見つけないと、追い出すって書いてあって、このままだと家を失うことになるなと思って……」




「なるほど……」




「そのことで気になったことがあって、ハローニートと契約すれば、仕事したっていう扱いになりませんかね?いやなってほしいです。このままだと追い出されてしまうので……」




まだ会って間もない相手に、こんな重い話をぶつけてしまった。


しかしこのままじっと待つわけにもいかないし、今目の前にいる相手しか、相談できる人はいない。




「その件なら大丈夫ですよ!さっきのホームページに書いてあったじゃないですか!」




「……?」




「『勝利する度に、利用者にポイントを支給する』っていうのありましたよね?」




「はい」




「このポイントは、いわば現金みたいなものなんです。それで勝利した時にある程度のポイントがもらえるようになっていて、大体最低賃金ぐらいもらえるようになっています」




「……!?そんなにもらえるんですか?」




つまり1回勝つごとに最低賃金1時間分もらえるってことだよな。


結構お得じゃね?

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