第5話 俺ニート、彼女から禁止事項を聞く

「あなたがどれだけ私のことを好きになっても、恋に落ちてはダメです……これだけは守ってください」




「あー!そういうことでしたか」




俺は誰とでも付き合うチャラい男だと思われていたのか?


さすがにハローニートの職員と一定の関係以上になることはないと思うが……




「ほら、私達って男と女じゃないですか、いい変えればアダムとイブです」




「まあそうですね」




「だから一応言っておかないといけないなと思って」




「なるほど」




「前の利用者さんにもいたんです。その人は真面目に恋をしてしまったようで、プロポーズまでしたんだそうです」




「そうなんですか」




「はい、しかしもちろんその2人が結ばれることはありませんでした。禁止事項に触れるからですね」




禁止事項だと言われているのになにやってるんだか……


そもそもその職員に惚れるってことは、余程美人だったんだろうな。




いや……よくよく考えたらニートに恋愛経験があるやつなんてごく稀だ。


だからこそ安易に恋に落ちやすいのかもしれないな。


気を付けた方がよさそうだ。




「他に禁止事項みたいなのはありますか?」




「あとは自分がハローニートの利用者であることを、利用者ではない人に話さないでください。もし話してしまうと重大なペナルティを受けることになります」




「それはどうしてですか?」




「まあ簡単に言いますと、今ニートではない人が、羨ましがってニートになることを防ぐためですね」




「ああ……確かにありそうですね」




広告を見たら誰でもうらやましがると思うのだが……




「あと失踪や自殺などは絶対ダメです。そして行方不明者にならないようにしてください」




「さすがにそんなことはしませんよ」




まあ大体家にいるようなインドア派だからな。




「こんな感じですかね。今後禁止事項が増えたりするかもしれませんが、今はこの3つだけ覚えてもらえればありがたいです」




「わかりました」




アリスとの明るく、そして真面目な会話をしていくこと1時間。




「さあつきましたよ」




2人は家の中に入った。




「ちょっと家の中を見て回ってもいいですか?」




「……はい」




明らかにおかしいとも思ったが、何も触れてはならないと言われた以上。


言いたい気持ちをグッとこらえた。




「なかなかきれいな内装ですね!」




「ありがとうございます」




母が掃除してくれているからこそ、このきれいさを保つことができるのだ。


俺は自室以外掃除してない。




「淳一さんの部屋はどこですか?」




俺は自分の部屋を案内した。


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