二千二十四年 六月 十七日
ミスドのドーナツを朝食するのは、他の食事にたとえると誕生日のケーキだったり、デートでフレンチを食べたりするように、なんというか、特別だった。
特別といっても根っから明るいような、ただハッピーな状態というニュアンスではなく、気持ちに影や深みがあった。だから誕生日やデートのそれと同じように書いたが、それらとは異なる特別さをもっていることになる。恥ずかしくない食事、つまりフォーマルな食事からはズレて、恥ずかしい食事、正しくない食事をすること。
こどものころ、親に見つからないように脱衣所で夜、カップラーメンを食べた、そのときの次第にはやくなっていく心拍を思い出させる。いつもと違うことをしていることへの静かな興奮というのだろうか、まんねりしがちないつもの、いつも美味しいのだけれど、朝食にしては朝食じゃないような。それで、楽しい気分になれた。
経理に使うスキャナーがパソコンに認識されないというので、昼の休憩時間に電気屋でコードを買いに行く。断線だったらこれで直る。再起動はしてみたがダメだった。これでダメなら本体ということになるが、そうあってほしくないというお祈りの気持ちがあり、それが昼寝の時間をつぶして電気屋に行く強い動機になった。
くねくねした山道を五分ほど、目の前の車がブレーキランプを一度も灯さずに走りきった。カーブがこんなにあるのに。運転がうまいな、と思った。真似したくなった。
原因はやはり断線だった。スキャナをつないですぐに、ぽこんと音が鳴る。Windowsが外部端末を認識した音。よかった。本体を買い替えなくてよい。
帰りの車で、脱毛の気運が高まる。というのも職場に半パンで行ったのだが、山登りの人が履くようなストッキングじみたインナー、あれを履いたらどうか、と言われたのだ。
夕飯に食べた琵琶は果汁がたっぷりで甘いやつだった。それと、さくらんぼ。甘酸っぱい山の味をしている。山の味とはなにか。その反対は、品種改良されまくった甘味の強い苺などだ。
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