第5話
無事に初戦闘を終えた二人だが、水辺の近くでは魔物たちも集まってきやすいと考え、森へと続く道を進んでいくことにした。 道は平坦に慣らされているが、左右の茂みからいつ魔物が出てきてもおかしくないため、警戒をしつつ、先ほどの戦闘を振り返る。
「ドラコ、さっきはありがとうな。俺、浮かれて何の対応もできなかったから助かったよ」
レオルは反省の気持ちをドラコへと伝える。するとレオルの頭上を旋回するように飛んでいたドラコは、レオルの頭の上へと降りてきてペシペシと短い腕でおでこを優しく叩いた。
「ごめんごめん、次から気をつけるよ」
「キュウ」
ドラコは、分かればよし。と言わんばかりに頷く。そのままレオルの頭上が気に入ったのか、頭から離れず道中を進んでいく。
その後も取り留めのない話を続けながら歩き続けると、茂みの中から角の生えた一匹のうさぎが飛び出してきた。
うさぎはホーンラビットと呼ばれる額に金色の角をもった魔物で、一般的なうさぎよりも一回りほど大きい体格をしている。可愛らしい外見とは裏腹に、額に生えた角の鋭さと脚力は油断できず、突進による刺突で獲物をしとめる肉食の魔物である。
道中警戒を続けていたレオルとドラコは油断せず、茂みに違和感を感じると同時に戦闘態勢を整えていた。ホーンラビットの姿を認識するとレオルはドラコへと声をかける。
「ドラコ、突進に警戒して横から攻めるんだ」
ドラコはレオルからの指示に頷くと、右側へと迂回するように飛び立ち、ホーンラビットの側面を攻める形をとった。
上空かつ側面から飛び掛かってきたドラコに対して、ホーンラビットは慌てたように前方へ飛び跳ねて回避を試みるも、跳ね残った左足を捉えられる。
ホーンラビットの左足を咥えたドラコは、そのまま3mほど上空へと上がると、勢いをつけて地上へと滑空し、ホーンラビットを地面へと叩きつけた。
その衝撃のダメージに耐えきれなかったのか、ホーンラビットはピクリとも動かず、その身を魔素へと変化させドラコへと吸収されていく。
魔素を満足そうに吸収するドラコであったが、唐突に表情を厳しいものに変えると再び上空へと飛び上がる。飛び上がったドラコと入れ違うように、茂みから角を鋭く光らせたホーンラビットが飛び出してきた。
ドラコの回避により標的を失ったホーンラビットは、着地と同時に慌てて頭上を確認しようとするも間に合わず、降りてきたドラコにより首の付け根を捉えられる。
その時、ドラコの戦闘を確認しつつ周囲の警戒を続けていたレオルが茂みを指さして指示を出す。
「茂みに投げろっ!」
レオルの声に反応したドラコは、身体をひねる様にして指で差された方へホーンラビットを投げ出す。すると茂みから別の個体のホーンラビットが勢いよく飛びだし、二体のホーンラビットが衝突することになった。
投げ出されたホーンラビットが、もう一方のホーンラビットの角に貫かれる様にして重なりあい、突進の勢いが殺される。飛び出してきたホーンラビットは状況についてこれず、目を丸くしていた。
ドラコはその隙を見逃さず、最後に現れたホーンラビットへと飛び掛かると、一体目と同様に上空へと上り、地面へと叩きつけるのであった。
一連の戦闘が終わり魔素の吸収も終わると、後続が現れないことを確認したレオルは腰を下ろし、ドラコはレオルの頭上の定位置へと戻ってくる。
「お疲れ様。連戦だったけど、どうだ? 怪我とかしてないか? 」
レオルが心配して声をかけるも、ドラゴは何の問題もないよと頭上で両手を上げる。
「ならよかった。連戦でレベルアップもしただろうし、ちょっとステータス確認しようか」
モンスターテイマー達は自身のテイムしている魔物たちの能力をステータスとして確認することができる。これは結晶時に自身の魔素を注いでるから可能であり、他者がテイムした魔物のステータスは確認することができない。
ただし、世の中には鑑定士と呼ばれる、テイムしていない魔物の能力をテイマー以上に詳細に確認することができる特別な人間も存在する。
レオルはドラコの頭に手を乗せてステータスを確認した。
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【名前】ドラコ
【種族】ベビードラゴン
【系統】ドラゴン
【Level】 3
【攻撃力】F
【守備力】G
【すばやさ】F
【魔力】G
【特技】1
〈火の息〉
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「ドラコ! 火の息覚えてるぞ! 次の戦いで試してみようか」
ドラコはレオルの喜ぶ声を聴いて、嬉しそうに口から小さな火を吐くことで返事をする。
「さっそくコントロールもばっちりだな。昼飯もそれでこんがりよろしくな」
戦闘や警戒の疲れもあるはずだが、二人はそれを微塵も感じていないようにドラコの成長を喜ぶのであった。
____________________
【名前】ドラコ
【種族】ベビードラゴン
【系統】ドラゴン
【Level】 2→3 levelup
【攻撃力】F
【守備力】G
【すばやさ】F
【魔力】G
【特技】1
〈火の息〉
ドラゴン種の代表的な特技で、口から火を放つ。
その火力はGランクの能力値の魔物ならば一息で丸焼きが出来上がる。
【種族】ホーンラビット
【系統】ビースト
【Level】 1
【攻撃力】G
【守備力】G
【すばやさ】G
【魔力】G
【特技】1
〈猪突猛進〉
足に魔力を集中させて勢いよく突進する技。
威力は高いが直線にしか進めない為、横からの攻撃に弱い。
【特徴】
金色に輝く角を生やした肉食のうさぎ。
他の生き物を見つけると、とりあえず突っ込む傾向がある。
学園で配られる結晶から孵化する確率は1/20
稀に氷や雷といった属性を宿した得意個体が生まれることがあるとか。
テイミングモンスター 〜仲間にした魔物たちと最強の称号を目指す〜 @nao74
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