第4-3話 君も不気味に感じただろうか
漆黒──
その炎には人の感情を飲み込むほどの魅力があるような気がした。同時に、この炎には見覚えがあった。
(あ、あれは、確か──)
確か「連続人体発火事件」として報じられていたはずた。
(犯人はこの男だったのか!)
確か黒い炎が突然、人の体から発火した──といった目撃証言があったはずだ。
自分の顔が強張っていくのを感じていた。
(あのサングラスの男は、今「
「トツさん!」
小鳥だ。
彼女の声に
燃やされている
大量の水蒸気が上がっている。
一見するとうまく鎮火の方向に進んでいるのかとも思えたが、そうではなかった。
相手は「
一筋縄でいくはずもなかった。
それはスキルを発動させている小鳥が1番よく理解できていたようだ。
悲痛な叫び声が上がる。
「どうしよう! トツさん、消えないよ!」
「高橋」の「
(ということは当然、あの黒い炎も水属性のスキルだけでは消せないはず)
「義兄さん! こっちに戻って来てください! その火はヤバい!」
サングラスの男が口角を上げている。あたかも勝利した時のようにだ。
「迂闊でしたねぇ、敵の属性もわからないのに近づくなんて──!」
笑みを作っていたサングラスの男の口が、今度は「おっ⁉︎」と丸くなる。
それもそのはずで、激しい炎に焼かれている
それどころか何事もなかったかのように、サングラスの男に向かって手を伸ばしているのだった。
「貴様か! ここ最近、街中で誰かれかまわず燃やしてるクソ野郎は!」
サングラスをしているので確認はできないが、間違いなく目を丸くしていたはずだ。
「なんとういう精神力でしょう。アナタ、素人ではないようですねぇ」
口元にまた笑みが浮かぶ。
「ですが、残念でしたね。
アナタがワタシにその雷属性のスキルを食らわせることはできないのですよ」
言い終わるのと同時に、
理由は、
最初、
ところが小鳥が、
「お義兄さんはどこ?」
と、つぶやいていたことで、見間違いではないことを悟る。
そして次の瞬間──
「な、なんだ……何が起こったんだ!」
今起きたことが理解できず、ただサングラスの男と義兄を交互に見ることしかできなかった。
「ふ、ふざけやがって!」
まだ炎に包まれたままであるにも関わらず動けるとは、にわかに信じがたいことだった。
「義兄さん!」
|凸守は駆け寄って両手に闇属性のスキルを発動させる。
「ダブル闇属性 深闇の濃霧スキル発動!」
すると黒い炎はどんどんは消えていくのだった。
「大丈夫ですか! 義兄さん!」
手を伸ばしたが、すぐに振り払われてしまう。
「あのクソ野郎! 絶対に許さんからな!」
「ちょっと待ってください!」
「心配するな。このスーツは火属性の犯人と対峙した時用の耐火構造になっている。見た目よりも傷は浅い」
とはいうものの、顔の皮膚はあちこちが焼けただれている。幸いなことに、消火が早かったため軽い火傷で済んだらしいようだ。
「お見事!」
サングラスの男が拍手をしている。
「『
「おい! そこのクソ野郎!」
「警察に攻撃を加えるってことは──覚悟はできてるんだろうな」
「ほう。アナタは警察の方でしたか。通りで焼かれてるのに動けるほどの強靭な精神を持っているわけだ」
かすかに首を傾けると、意味ありげな言葉を口にするのだった。
「てっきりこの辺りの警官は全員始末したものだと思ってたんですがねぇ」
|凸守(でこもり》たちは全員、怪訝な顔を浮かべた。
中でも
「ふざけたことばかりぬかすなよ!」
と、身構えた瞬間、3人いた黒スーツのうちの2人が飛びかかって来る。
「この程度で倒せるとでも思ってるのか」
ふと見ると、サングラス男が拳銃を構えているのだ。
「義兄さん!」
いち早く気がついた
「さようなら、刑事さん」
銃弾が1発放たれる。
ところがターゲットは
サングラスの男の狙いは黒スーツの方だったのだ!
頭に弾丸がめり込むと、血飛沫が飛び散る。
「当然、知ったますよねぇ。この世の『
サングラスの男は白い歯を見せていた。
これまでに何度か笑みを見ているが、それはどれも作り笑いのような感じがしていた。
ところがこの時のサングラスの男の表情は、心底楽しげな笑顔を浮かべているように見えた。
頭を撃ち抜かれた黒スーツの男は、床に倒れる。
「死んだ人間のメイン属性は、半径6メートル以内にいる相応しい人物のサブ属性に入るんですよぉ」
「黒スーツたちのメイン属性には『爆発系』のスキル、『
つまり黒スーツが死ぬと『
ドカン!
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