第7-4話 君も戦ってくれるか
「では、行きます!」
ショットガンを持った
「おやおや。わざわざ死に来た──わけではないようですね」
柱の影から顔を出した「鈴木」は楽しげに笑う。
「高橋さん、いけますか?」
かたわらにいた偽警官──「高橋」と呼ばれた少女はうなずく。
「大男の後ろにも2人いるようですが」
「なるほど。先頭の大男が
「誰を燃やしますか?」
「うーん。セオリーから言えば|治癒役「ヒール》を狙うのですがねぇ」
「鈴木」はチラリと「高橋」を見た。
「とりあえず大男にしましょう。今の『高橋』さんでは、後ろの2人を狙うのは難しいでしょうから」
「了解です」
カッと目を見開くと、視界に
それを認識した
「おととと」
「鈴木」たちはすぐに柱に身を隠したため、放たれた仮死弾は空振りに終わる。
「あっ!」
また「高橋」が顔を出したのだった。
「見られました!」
次の瞬間、
「ぐわっ! やられました!」
「任せろ!」
大きな
「とりあえず、脇にされるぞ」
「思ったよりも進みませんでしたね」
前方を見ると、「鈴木」たちがあるところまではまだ30メートルほどはありそうだ。
「十分だよ」
「それにこれは奴らに近づくのが目的じゃないんだしな」
「その通りだ」
「ツユ。わかったか?」
『ええ。しっかりと確認できました』
10メートル後ろで
『まず、「鈴木」の「
正確に言えば、「操ってるのではなく」「見た場所に移動させている」のでしょう』
「見た場所に移動させるって、つまりテレポーテーション、みたいなことですか?」
よほど驚いたのだろう。
「だが、これはある程度予測していた通りだ」
燃やされた
吹き飛ばされたのなら、
ガガッ! とノイズが入る。
『そしてまず間違いなく、あの偽警官は「視認タイプ」です』
「てことは、偽警官が見た者に対してスキルを発動できるってことだな」
『はい。おそらく「
『一見厄介なようですが、なぜ警官はまだこのスキルを完璧には使いこなせてはいないようです。
根拠はトツを狙わなかったからです。我々の中で唯一、「
そうしなかったのは、ピンポイントに狙った箇所にスキルを発動させられなかったからだと考えていいかと』
「さすがだな、ツユ」
「あの一瞬でそこまで分析するとは。やはりお前は冷静になればすごい奴だ」
『キュウさんにしごかれましたからね。それにまだわかったことがあります。「鈴木」も、そして偽警官も「特殊属性の
「6秒ルールか……」
闇や光属性のことを通称「特殊属性」と呼ぶ。そしてこれらの属性には「理」が存在するのだ。
それはスキルを発動させてから「6秒の間」に、誰かに対して効力を発揮しないと無効になってしまう。
「それって、トツさんの『闇スキル』を発動させたら、6秒の間に『|天照「アマテラス》』に触れないと、効力がなくなるってことですよね?」
『そうだ。そしてその「6秒間ルール」のもう一つの理。スキルを発動したら、6秒間は新たにスキルを発動できない、ということだ。
偽警官がわたしたちを次々に吹っ飛ばさないのがその理由だ』
「ということは──」
すると
『「鈴木」が「
「そこに空白の6秒間が生まれるってわけですね、義兄さん」
『そういうことだ』
「ツユさん! 天才!」
『こんなものは朝飯前だ』
「謙遜しちゃって。こっからでもツユさんのドヤ顔見えますよ」
『ふざけてる場合か』
一瞬、場が和んだ。
「そんなにうまく行きますかねぇ」
振り返ると、そこに「鈴木」が立っているのだった。
ガガッ!
またノイズが入った。
『みんな! 逃げろ!』
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