第4-1話 君も不気味に感じただろうか
「死ね。今すぐにだ!」
探偵事務所のドアを開けるなり、やって来た
体をのけぞらせて驚いていた
「どうも。ご無沙汰しています」
「黙れ!」
入り口に立つ
身長は180センチに体重75キロのモデル体型で、髪色はブラウン──というよりも黄色に近いだろう。
ウルフカットにされた前髪はいつもきれいに整えられていて、相変わらず隙がないスタイルだった。
2、3歩入ったところでふと足を止めると、事務所内を物珍しそうに見回す。
「ずいぶんきれいになったな。ようやく人間らしい生き方をしようと心を入れ替えたのか」
「実は新しい助──」
言いかけたが、すぐに
「ごたくはいい。トツ。死ね! 時間の無駄だ。
言っておくがな。これは頼んでるんじゃないんだ。命令だ。決定事項だ。否定はもちろん、疑問も口に出すな!」
高そうなスーツの前のボタンを外すと、乱暴にソファの上に体を預かる。
「しかし、死ねと言われても……」
「そんなことを言える立場なのか?」
「Z地区で『砂漠』のメンバーを半殺しにしたそうだな」
「そ、それには訳がありまして……」
「その後、民間人が住むアパートの前で、白昼堂々と正体不明の賊と戦闘を始めた挙句。3人を死亡させてもいるよな?」
「あれは俺ではなく、奴らが勝手に自殺したわけで……」
「『高橋』と言ったか? 唯一の生き残りは完全に再起不能だ」
「うちの闇属性を持ってる捜査官が2人係でなんとか記憶を復元した。
だがな、殴られ過ぎたせいでしゃべることもままならない状態なんだ。
おかげで聴取できるようになるまで回復を待たなくちゃならない」
また鋭い視線を向けられ、
「トツ。完全なる過剰防衛だ」
「すみません……」
「申し開きをしてみろ。特別にこの私が直々に聞いてやろう。お前の遺言としてな」
「言い訳は……ありません……」
「そうか。それなら時間が省けるな。だったら今すぐに死ね!」
「そう言われても……」
その距離はわずかに数センチといったところだ。
「だったら聞くが、お前のサブ属性に入ってる『
・氏名
・年齢 40
・メイン属性 闇
・サブ属性 光
浮かび上がったステータスを見て、
察した
「このスキルは『
「確か報告書では、『高橋』の『ステータス』のメイン属性は『
ということはこの『
「おそらくそうだと思います」
「なぜそう言い切れる?」
「え?」
「お前は、他にも『
「いえ、そういうわけでは……」
「ちなみに『光属性』から変化させられるのか?」
「え? ええ。使ってるうちになんとかコントロールできるようになりました」
そう言って
サブ属性が「光」から「火」に変化するのだった。
「コントロールするのには苦労しましたが、慣れると簡単です。例えば『火属性』に換えたいなら、頭の中で炎を浮かべれば──」
「黙れ!」
「すみません……」
飼い主に叱られた犬のように
「どう考えてもお前の『
「ですね」
「しかもこちらで調べたところ、ソレは
実は事件が終わった後、聴取を取るついでに「
するとある程度予想はしていたのだが最高ランクの
「ということは、トツのサブ属性を入れ替えるには、現在所有してるものより上のランクのスキル、もしくは同等の
「はい……」
「トツ。お前の闇属性のランクは?」
「
「話にならんな」
「すみません……ですが
「黙れ!」
またシュンとなる
「となるとその物騒な『
また
突然、
「あなたねえ、さっきから失礼じゃないですか!」
手には空になったコップを持っている。
「人に死ね死ねって、一体あなたは何様なのよ!」
「彼女は?」
「ウ、ウチの助手でして……」
「ずいぶんと気の強い娘を雇ったんだな」
小鳥はファイティングポーズを取っている。
「文句があるならかかって来なさいよ!」
「こ、小鳥! 何やってんだよ! 早く謝れ!」
「どうしてこんな人に謝らなきゃならないの⁉︎ てか、トツさんはなんだってこんな失礼な奴にヘーコラしてるわけ?
あっ、わかった。この人に借金してるんでしょ?
まったく怪しげなところからお金なんか借りるから──」
「この人は刑事さんだ」
「へ?」
「警視庁捜査一課の警部だ」
「ソウサ イッカ? ケイブ?」
「そして俺の妻の兄でもある。つまり俺の
小鳥は口に手を当てて「あわわわわ」と全身を震わせる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます