チーム戦略のジレンマ
これ、書かない方が良いかもと思ったけど、ロードレースのいちファンの戯言として受け取ってほしい。
チーム内部の事とか事情とか全然知らないで書いている事を承知して読んでな。
昨年も同じコースと同じ距離で行われた全日本で完璧なレース運びでワンツーフィニッシュを決めた◾️◾️チーム。レース序盤から果敢に攻めて、多数のチーム員を送りこんだ逃げを作り、足を使ってチームの強さを見せつけた勝利だった。
このチームは世界を目指す為に有望な選手が引き抜かれ、当時結成されたばかりのチームだったと認識している。
チーム力はナンバーワンで、今年も優勝候補筆頭のチーム。
個人的に面識のある選手はいないけれど、ロードレースファンなら誰もが知っている有名選手が名を連ねる。
その誰もが、結果だけを求めて走る選手ではなく、自らの足を使って勝利を掴み取りにいくような尊敬されている選手達だ。たとえ面識が無くてもそんな選手の事は応援したくなる。
そんなチームに対抗して、俺が応援しているチームや選手達はどういう戦いをするのか、とても楽しみだった。
現場では自分が見ている所しか見えないから、後で知った事実とは違う見方をしていた。
レース中盤に1人飛び出した◾️◾️チームの●●選手。
彼は選手生命を絶たれるような病気や怪我を何度も乗り越えてきた不死鳥と呼ばれるレジェンド選手だ。一昨年に負った骨盤骨折の大怪我も乗り越えて、今こうしてレースを動かそうとしている。
俺は拍手を送った。
ちょっといつもと印象が違って、穏やかな感じがした。
あれ? こんな感じに走る人だっけ? こんな感じと言えばこんな感じだけど、何かいつも以上に。でもきっと内に秘める闘志を隠しているんだろうなって思っていた。
そこに1人の選手が合流した。ここ2年位低迷していたけれど、その前は期待の若手として面白いなって思ってた○○選手。
今年は調子がいいみたいで、2日前に行われたタイムトライアルで、雨風が強く気象条件が悪い出走順の中、見事に準優勝に輝いていた。
●●選手と○○選手は、かつて同じチームで、しかも師弟関係みたいな感じだったんじゃないかな。
○○選手が●●選手を懸命にアシストしていたイメージがある。
この足のある2人の逃げは面白い。俺は2人の逃げを応援した。
2人でガンガン行け〜って思って応援していた。
それがさ。家に帰ってテレビで中継録画を見たり、ウェブに掲載された選手のコメントを見てがっかりしちゃった。
○○選手のコメント。
「●●選手に追いついて一緒に行けると思ったけれどチームプレーだからと(先頭交代を)回してもらえなかった。あの動きは失敗だった」と。
チームプレーに徹した●●選手、そして2人で逃げたかった○○選手はどんな気持ちだったのだろう。
先に逃げておいて、前に行こうとする選手を潰す動き。戦略だとはいえ、こういう所がロードレースの嫌いな所だ。
ましてや、日本を引っ張っていくべきチームが前に行こうとする者を潰すような戦略を取る事が腹立たしい。
逃げたくない選手は逃げるなよって思っちゃう。
まあ、これもロードレースの一部で仕方がない事なのかもしれないけれど。
結果、●●選手はパンクして、○○選手は1人逃げとなり、程なく集団に吸収される事となる。
あの●●選手のパンクは心のパンクを象徴しているように思えてならない。
●●選手がこうしたチームのコマに使われているのかと思うと悲しいものがある。
前を譲って穏やかな顔でゴールした現場で見た●●選手の姿を思い出し、本当はこういうレースはやりたくなかったんじゃないかと勝手に想像してしまった。真実は分からないけれど‥‥‥。
例えエースではなくても、自らの勝利の可能性を求めて走れる役割が与えられていたら良かったのにな。
そんな姿を見たかったし、これからも見たいと思っている。
○○選手は、あの動きは失敗でチームにも申し訳なかったとコメントしていたけれど、失敗だったのかな?
結果的には失敗だったかもしれないけど、俺はそんなふうには思えない。
今回は残念だったけど、こんな事に懲りずに挑み続ける姿をみたい。
逃げる選手を応援したくなる俺としては、あそこで勝利を目指して逃げに出た○○選手や前項で書いたU選手の勇気ある走りをもっと評価してほしいなって思ったりする。
レース後半に勝ち逃げとなった4人の中に2人残った◾️◾️チームは、ゴールまでエースを勝たせる為のレース運びに徹した。
勝つ事が使命とされるチーム。その為のチーム戦略。
仕方がないのかもしれないけれど、今回はあまり良い印象を持てなかった。
そんな中で勝利を掴んだM選手と、一緒に走っていた選手達に一番強かったと言わしめて2着に入ったK選手が一段と輝いて見えた。
勝者は個人なのに個人競技ではなくて、チーム戦であるロードレースは厄介な事も多くて難しい。
まあ、だからこそ一筋縄ではいかない面白さもあるんだけどね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます