※ 第17話 これもオーナーの仕事?


「って言う事はさ」



それまでのしんみりした空気を若干引きずりながら、シェリーは熱の籠った視線を向けてくる。



「お楽しみがおじゃんになったって事は……身体の方も持て余してたり?」



そう言いながら私のお尻に手を伸ばしてくる。



「いや、今はそんな気分じゃないから」



その腕を払いのけながら、私は素直な気持ちを返した。



「抱かせてくれたら色々“融通”してあげるわよ。

コネクションを作るのもオーナーの仕事でしょ?」


「……そうだね」



融通……つまりは練習試合を組んでくれたり、移籍を希望するグラ娘の候補先として紹介してくれたり、だ。

企業チームや、個人勢であっても拘りの強いオーナーの場合だと方針に馴染めない、納得出来ないグラ娘も出てくる。

先のラッシーヴァルキリーがその典型だ。

この場合はオーナー三ヶ条に従って、可能な限り移籍の希望を叶える義務がある。


移籍する方法は大きく分けて二つ。

年末の特別オーディションへの参加。これにはCランク以上のグラ娘のみが参加可能で、各チームによる取り合いになる。


もう一つは他チームへのトレード。

基本は同ランクのグラ娘同士でのトレードが多いけど、オーナー……もしくは背後の企業の覚えが良ければ、金銭や無償トレードでグラ娘を提供してくれる事もある。

そして、コネクションを築く為に有力オーナーに抱かれる、媚びる、島外での先輩後輩の関係を持ち出す……等の手段はこのグライソではごく普通に行われている事だ。


フェアリーレイを立て直した新進気鋭の新人オーナー、シェリー・オーウェン。

彼女に抱かれさえすれば、今後フェアリーレイとの練習試合が組めるし、あぶれた有力グラ娘も紹介して貰える。

なるほど、確かにそれは魅力的な提案だ。



「うん。それなら、お相手させて頂こうかな」


「決まりね。ふふ、飛びっ切りの部屋を借りるから」


「流石、Bランクチームのオーナー様は気前が良い」


「やっぱり高ランクチームのオーナーはモテるわよ。

まだ半年ぐらいだけど色々な可愛子ちゃんから熱烈なアプローチを貰えるの。

あ、勿論私の本命はルカだけどね?」


「はいはい」



シェリーはウィンクをして気分良さげに微笑みながら立ち上がった。

私もまた彼女に倣い椅子から腰を上げる。



「じゃ、行こっか」



そう言って彼女は私の腰に手を回し抱き寄せてきた。

こうやって真横に立たれるとスタイルの格差にちょっと凹むな……



※※※※※



「さぁ、ここが私とルカの愛の巣よ」


「うわぁ……」



連れ込まれたのはホテルの最上階。

広々としたスイートルームだ。

窓の外には昼間でも煌々と輝くグライソが一望出来る。


それだけなら良い。素敵な部屋を用意してくれて感謝したいぐらい。

問題は……壁に取り付けられている磔台や、天井に設置されたフックから鎖が垂れ下がっている事だ。



「シェリー、そういう趣味だったんだ」


「えぇ。嫌なら帰っても良いけど?」


「……いや、やるよ」


「ふふ、嬉しいわ。じゃ、脱いで?」


「うん」



私は羽織っていた上着を脱ぎ捨て、ネクタイを緩め、シャツのボタンを一つずつ外していく。

ベルトを緩めてズボンと下着を脱いだ。

シェリーはいつの間にか全身をレザーのボンデージ衣装で身を包んでいた。



「ふふ、いつ見てもルカの裸って綺麗ね。

白くてすべすべな肌……小柄で弱々しい所もチャーミングよ」


「それはどうも。この後は?」


「そこの椅子に座ってちょうだい。両脚は肘掛けに乗せて大きく開いて」


「……了解」



私は指示通りに椅子に座ると、背もたれに身体を預け、脚を開いてそれぞれの肘掛けに引っ掛けた。



「ふふ、良い眺めよ」



シェリーは舌なめずりをしながら私の両手を掴んで背もたれに設置された手枷に繋いだ。



「っ……」



手枷の鎖が短く、腕を上げた姿勢で固定される。

更に両脚も数本のベルトで縛られて、私は身体の全てを曝け出す姿勢を強制された。



「ふんふふ〜ん……♪」


「っ、待って! それ、何……!?」


「これ? ただの剃刀よ」



シェリーはなんの気なしに応えると、チューブからクリームを押し出して私の恥部に塗りつけ、そこに剃刀を当てた。



「シェリー! 冗談は止めてっ!」


「冗談じゃないわ。きっとルカはツルツルの方が可愛いもの。ほら、動かないで」



シェリーの握る剃刀の刃が肌の上を滑り始める。

ジョリジョリと……私の毛を剃り落とし始めた。



「くっ……」



私は唇を噛んでその羞恥と屈辱に耐えた。

いや……この程度、なんて事ない。そう自分に言い聞かせる。

これでフェアリーレイのオーナー……シェリーとのコネクションが作れるなら安い物だ。

そう自分に何度も言い聞かせた。



「ふぅ……こんなものね」



シェリーは満足げに私の股間を蒸しタオルで拭うと、わざわざ手鏡でその様子を見せてきた。



「それじゃあオシャレも終わったところで……始めましょうか?」



シェリーは小さいながらも強烈な振動を放つソレを私の薄い乳房に押し当てた。



「あぁ……っ」



私は堪らず声を上げ、身体を軽く仰け反らせた。



「ふふ、くーるくーる……♪」



シェリーは焦らすように、敢えて一番敏感な部分に触れないように円を描くようにしてソレを動かし始めた。



「あっ、んっ……く……」


「あは、可愛い声出しちゃって……気持ち良いんでしょ?」


「ちがっ……」



私の強情さにシェリーは頬を吊り上げて、更に強く押し当ててきた。

胸から伝わる振動に呼応するように下半身の一点がキュンと疼く。

それが身体のスイッチを入れてしまったのか、徐々に疼きが強くなり始める。



「うふふ、勃ってきたわよ?」



シェリーはクスッと笑うと、洗濯バサミで私の胸の先端を挟んだ。

少し痛い。けれど気持ちいい……そんな絶妙な力加減。

そんな洗濯バサミに糸で繋がれたローターが振動を伝えて、私の胸を震わせる。



「あ、はっ……」



ローターの振動が糸を通じて身体を刺激し、乳房全体がじわっと熱くなる。

もどかしい刺激は徐々に快楽となって私の中に蓄積されていった。



「っ……シェリー」


「ん? なぁに?」


「焦らさないで……」



私は潤んだ瞳でシェリーを見上げた。

そんな私に彼女は妖しく微笑んだ。



「ルカは私をその気にさせる天才ね?」



そう言って私の下半身に手を伸ばして……



それから先はぼんやりとしか覚えていない。

ただ、シェリーに徹底的に躾けられ、屈服させられた。

快楽に溺れて……理性を手放して獣のように求めた事は、心の片隅に確かに刻まれていた。


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