第25話 輝く砂浜の二人と押し倒される勇者




「うわぁ、海綺麗。この間三人で来ましたけど、また違う景色ですねー。そして今回は邪魔者もいませんし……ふふふふふ」


「キャンプ場から近いんだな、海。確かに誰もいねぇな。ここならいいんじゃねぇか? な、リュー」



 野外学習での炊事体験を終え、自由時間。


 俺たち三人はちょっと歩いて海のほうに来てみた。


 悪友佐吉が言っていたが、確かにこっちまで来た生徒はいないっぽいな。


 ……なんか俺の幼馴染みのハイスペック美女二人、ミナトとカレンが海を見て悪い顔をしているのだが、なぜ。



 白い砂浜に輝く太陽。海風が頬を撫で、思わず海に飛び込みたくなるが、着替えとか無いし、自重。



「こないだ行った、ミナトのホテルに近い場所なんだよな、ここ。向こうは人が多くいるけど、こっちは学校で貸し切っているせいか、誰もいないな」


 ミナトの会社の高級リゾートホテルが見える距離にあって、むこうの敷地の砂浜はかなりの人がいる。


 でもこっちのキャンプ場から繋がる砂浜には誰もいない。


 そうか、今日はうちの高校で貸し切ったからか。


「しまったなぁ、水着持ってくれば良かった。そうしたらリュー君と……」


 黒髪お嬢様ミナトが残念そうに海を見て、俺の左腕をつかんでくる。


「別に水着なくてもいいだろ、もう裸見せてるし。ほら、そこの岩場の影とかいいんじゃね?」


 金髪ヤンキー娘カレンがジャージの上を脱ぎ、近くにある岩場を指す。


 学校ジャージにTシャツ姿、カレンのスタイルの良さが突き抜けているせいか、とてもエロく見える……。


「私も脱ぐー。ここから先は……リュー君にお願いしようかな、ふふ」

 

 ミナトもジャージの上を脱ぎ、Tシャツ一枚に。


 うう、ミナトもスタイルすごいし、シャツが透けてブラジャーの色と形がハッキリ見える。


「お、見てんなぁリュー。さすがのリューも、いつもと違う場所で興奮してんのか。いいぜ、野外学習とはいえ、授業中にヤるとか興奮するよな……あはは」


 ボーっと二人の美女の身体のラインを眺めていたら、カレンがニヤと笑い俺を砂浜に押し倒してくる。


「うわわ……ご、ごめんって、つい見てしまったのは謝るから……!」


「ふふ、私の身体を見たいんですよね。構いませんよ、リュー君。ですが、この先はリュー君の手でめくって下さいね」


 右側をカレン、そして左側をミナトに押さえつけられ、俺は砂浜でひっくり返った亀状態。


 二人が火照った顔で自らTシャツをめくり、白く綺麗なお腹が露わになる。


 こ、これ以上は色々とマズイ……! 


 俺は勇者の力を覚醒させ、意を決して二人を抱き寄せる。


「きゃっ……はぅ! き、きた……!」


「おお? 二人同時に抱くとか、マジで勇者だなリュー。いいぜ、好きにしてくれ」


 耳元で二人の吐息が漏れ、力が緩んだところで一気に絡む二人をすり抜け立ち上がる。


 あっぶな……二人とも色々と柔らかくてエロすぎなんだって……。


「ああ……そんなリュー君……抱くだけ抱いて、私を捨てて逃げるんだ……うう」


「チッ……マジで期待したってのに……ここまで来たらヤっていいだろリュー!」


 ミナトが演技っぽく泣き、カレンが激怒。


「ほら二人とも、これ以上は綺麗な髪が砂だらけになるだろ。そろそろ時間だし、三人の写真撮って戻ろう」


 俺は精一杯の笑顔を作り、二人の頭を優しく撫でる。


 実際、集合時間近いんだって。


「ああ、リュー君の優しい笑顔……うん、リュー君の為に髪は綺麗にする」


「……チッ、その顔ずるいって。分かったよ、勇者の言葉には従うよ。リューは押しに弱いし、その気になりゃあいつでも襲えるしなぁ」


 良かった、二人が元に戻ってくれた。


 押しに弱いって……カレンの華麗な足技に転ばずに耐えられるやつは、世界にどれだけいるのだろうか。



 砂浜にあった岩に携帯端末を置き、セルフ撮影モードでパシャリ。


 少し火照った顔のミナトとカレンが、とても可愛かった。


 ……よく見るとTシャツが透けて下着が見えているが、うん、記念写真だしな。これは俺だけが独占して、夜に見よう。


 うん、夜に。


 時間はただ単に、空いている時間なだけだぞ。




 自由時間も終わり、バスに乗車。


「すぅ……」


「ぅぅーん……ヤ……」


 疲れていたのか、バスに乗って数分で左右のミナトとカレンが寝てしまった。


 それはいいのだが、俺の肩に頭を乗せて寝るのはやめてくれないかな……動けない。


「……砂浜、押し倒し、疲労……ひひ」


 前の席の佐吉が寝ている二人の髪を指し、ニヤリと笑う。


 え……もしかして二人の髪に砂がまだ残っていたのか? 


 結構念入りに払ったのだが……。



 あと押し倒した、ではなく、俺が押し倒された、な。


 疲労は……意味が分からん。


 つか知っているかのように、ワードだけ言うな。



 えーと、そういえばお前に勧められて海のほうに行ったけど、覗いていたわけじゃあないよな?














  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る