第19話 メイド服DEサンド写真
「ああ、もう終わりの時間なのですね……。でもこの後は……そう、リュー君との密着ターイム!」
「今日も混んだなぁ。よしリュー、本日のお楽しみタイムといこうぜ!」
日曜日。
昨日に引き続き、俺の幼馴染みのハイスペック美女、ミナトとカレンが喫茶店でのアルバイトに来てくれた。
しかも今日はメイド服装着という、サービスデイ。
定番、確かにメイド服とかこういうときの定番アイテムではあるが、実際に実物を目の前にすると、言葉を失うぐらい俺は大興奮だった。
もちろん、もちろん俺はその興奮を表には一切出さず、終始真顔で二人の警備役をやっていたけども。
でも心配していたようなことは起こらず、大混雑ではあるが平和なメイドタイムだった。
ずっと二人の背後に付いて回り、たまーに、極稀に可愛らしいメイド服を着ているミナトとカレンのお姿を至近距離から凝視などさせてもらい、俺のメイド服メーターは満タンどころか限界突破。
今日の二人のお姿をバッチリ脳に焼き付けたので、一生思い出して楽しめるのでは。
……思い出して楽しむって、あれだぞ、逐一脳内から映像を引っ張り出してきて微笑む、ってやつだぞ。そう、健全。妙な詮索は止めてくれ。
「るるー魔法の国からレインボー、七色カラフル七変化っ! はいカラフルカラフル……」
そして今日も始まるカラオケ大会。
一番手はまたもや黒髪お嬢様ミナトのイケメンハーフ運転手、ジェイロンさん。
どうやら俺の妹のリンがリクエストしているらしく、女児向けアニメの歌を大熱唱。
歌い方がオペラ調ではあるものの、ジェイロンさんはかなりの美声で上手い。
ちなみにさっきまでのアルバイト中、当然ミナトとカレンのメイド服コンビが大人気だったのだが、それに匹敵するほど黄色い声が多かったのが、このジェイロンさん。
ただミナトの姿を撮影してただけなのだが、ご近所のマダム人気が急上昇。かなりの頻度で声をかけられていた。
ジェイロンさん、ハーフで超イケメンだしな……。ビシっとスーツを着ていても分かる肉体美もすごいし。
「私も歌うー! カラフルカラフルー」
妹のリンが我慢出来ずにステージに上がり、ジェイロンさんと一緒に歌いだす。
なんか申し訳ないな、リンに合わせてもらって。
「ね、リュー君。ご感想は? ずっと見ていたよね、私たちのメイド服姿。それでどこを見ていたのかな、胸かな、お尻かな? ふふふ」
「そうだな、リューがよく見てたのはミナトの胸と私の足って感じだったな。結構顔、ゆるんでいたぞ、あはは!」
白熱する魔法少女劇場を眺めながら夕飯の海鮮たっぷりホワイトシチューをいただいていたら、左右からメイド服姿の二人が密着してくる。着替えずにそのままですか……。
おっふ、その姿で密着されるとヤバイ……ってアルバイト中、こっそり二人を見ていたことがバレている。しかもピンポイントで。
「いや、あの、つ、つい、その……二人のメイド服姿があまりにも可愛くて、つい……ご、ごめん!」
「ふふ、別に謝らなくてもいいですよ。だって見てもらう為に着ていたんですから」
「ちょっと肌露出多くてスースーしたけどよ、リューがずっと側にいてくれたから安心だったぜ」
俺が素直に謝るも、二人はニッコリ笑顔。
「リュー君は今日一日、私たちのボディガードをやってくれましたので、ご褒美をあげちゃいますね。せーのっ」
「リューはもう私たちの裸見てんだから、服の上から見るとか今更だろ。それに見てるだけじゃあ、もう満足出来ないだろ? ほら、次のステージの肉体的関係に進もうぜ!」
ミナトとカレンが左右からガッシリ抱きついてくる。
うぉおおお……! なんか色んなところから色んな柔らかい物が……!
「ジェイロン、写真よ」
「ははっ、ではズン」
俺の全身が柔らかいものの感触に支配された瞬間、黒髪お嬢様ミナトがジェイロンさんに指示。
魔法少女ソング部隊から一時離脱したジェイロンさんが俺の携帯端末を持ち上げ、ズン。
いや、だからズンって何。
「うふふふー、この写真最高です! あとで送って下さいねリュー君!」
「あっはははは! リューすげぇだらしねぇ顔してる! 私にも送れよ、これ。なんかあったらこれでリューを脅せるし……あははは」
二人が写真を見て大爆笑。
恐る恐る見ると、メイド服姿の美女に挟まれた男がご満悦顔で昇天しかけていた。
これはヤバイ。こんな写真が出回った日には、俺は外を歩けなくなってしまう。
「うわぁ……リュー兄の顔やっば。女に対して免疫なさすぎ。って二人の裸、見たんだ。ふぅぅん。まぁお姉ちゃんたち、二人ともすっごい身体してるからね」
って妹であるリンにも兄の昇天フェイスを見られたぞ。
くっそ、今まで真面目で優しいお兄ちゃんを演じていたのに……って何かリンが不機嫌なんだけど、なぜ。
爆笑してくれたほうが、まだお兄ちゃんは救われるのですが?
二人の裸を見た? それはえーと、うん、ちょっとだけね。
その後、ミナトがとカレンと俺とでステージに上がり、カラオケを満喫。
メイド服姿で歌う二人は、とても可愛かった。
「ふぁあ、だる……」
翌日月曜日。
高校に着き教室の自分の席に座るが、すでに眠い。昨日までは幸せな日々を送っていたのになぁ。
おそらく学生でこの曜日が好きだと言う人は、ごく少数だろう。
なんだろう、月曜日と聞くだけで全身を支配するこの気だるさは。
「……メイド服、どうだった?」
もう机に突っ伏して寝ようかと思っていたら、突然耳元で男の低音ボイスが響く。
「……!」
驚いて顔を上げると、そこには悪友佐吉が嫌な笑みで立っていた。
え、どういうこと……なんでメイド服って単語がこいつから出てくるの。
もしかして昨日、こいつもうちの喫茶店に来ていたのか?
「少しは女に対する免疫つけろよ?……ひひ」
「……!!」
え、こいつ、どこまで知ってるの?
怖い……最近の佐吉君がとても怖いんですけど。
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