第14話 楽しい三人の時間と俺の部屋に甘い残り香が



「じゃあ行きましょうか。ふふ、リュー君、そんなに怯えないでも大丈夫ですよ」


「あれらしいぜ、こういうのって結構外れるんだとよ。でもまぁ、外れたらリューの手で隠してもらうからいいけどよ、あっはは!」



 ホテルの施設のプール。


 こちらも高級リゾートホテルの施設なので、その辺では見たことがない遊具が多くある。


 今俺たちは定番のウォータースライダーを体験しようとしているのだが、これがなんと三人同時で滑り降りるという豪快なやつ。


 大きめの浮き輪に三人が乗っかり、スタート。


 俺は基本的にジェットコースターとかそういう乗り物が苦手なのだが、二人に左右を掴まれ誘導されたので逃げることが出来なかった。


 ジェットコースターよりは怖くはないと思うけど、結構な高さからスタートするので、恐怖心は湧く。


 なんだかハイテンションな幼馴染みのハイスペック美女、ミナトとカレンに悪いが、俺は目を閉じてやり過ごす……え? 外れる? 何が? もしかしてお胸様につけているやつですか!


「では押しますよー」


 スタッフさんが俺たちの浮き輪をぐいっと押す。


 いきなり結構な角度の坂でスピードアップ。


「きゃあああ! 楽しいー!」


「すっげ、すっげぇ! これ外れるかもなー、あっはははは!」


 ぐぬぬぬぬぅ……目を閉じたいぐらい怖い……でもお二人の水着が取れようものなら多くの人に見られてしまう……それだけは避けねばならん!


 俺は恐怖に耐え、必死に目を開き左右の美女二人の水着を注視。


「角度えぐーい! 左右に振られてリュー君に密着しちゃうー」


「あれ、リュー耐えてんな。これで弱ったところを攻めようと思ったんだけど……つかリュー、この状況で私たちの身体見過ぎじゃねぇ? 昨日とかの裸のときに見りゃあいいのによ」



「お疲れ様でーす、浮き輪から下りてくださーい」


 数十秒……の旅、いや俺には数時間にも感じられた旅が終わった。


 地上に降り立つまでの間、お二人のお胸様を見ていましたが、無事外れることなく終えれました。


 簡単に感想を報告すると、すっごい揺れ……



 そのあと流れるプールや人工的に波を起こしているプール、滝のように水が落ちてくるプールを三人で満喫。


 お昼には、水着のまま入れるプールに併設されているレストランで海鮮ランチを頂いた。




「あー楽しかったですねー。明日が学校とか信じられないですけど」


 黒髪お嬢様ミナトがホテルの部屋で髪を整えつつ、今日の感想を言う。


 そう、今日は日曜日なのだが、明日は残酷にも月曜日で登校日。


 昨日今日があまりにも楽しかったので、明日の今頃は高校にいるとか、確かに信じられない。


「そうだな。でもよ、中学のときと違って、今は明日も三人一緒だ。中学んときは毎朝しんどかったけど、明日もこの三人が一緒なんだって考えたらよ、むしろ明日の高校が楽しみだな、私は。あはは」


 カレンが笑顔で言うが、うん、そう言われればそうだな。


 明日からもこの三人で高校生活を送れるのなら、確かに何の苦もないかもしれない。


「……ミナト、カレン、今回はこのイベントを計画してくれて、そしてそれに俺を誘ってくれてありがとう。やっぱり俺にはミナトとカレンが必要なんだって、再認識出来たよ」


 二人と過ごしたホテルでの時間。トラブルは多々あったが、俺はとても楽しかった。やっぱり俺の心の中の深いところには二人がいる。


 二人の笑顔を見て過ごせた二日間は、とても幸せな時間だった。


「ふふ、リュー君、それって告白ですよね? ふふ、いいですよ、私は最初からそのつもりですし」


「ったくよぉ、そういうのは昨日の夜に言えよ。帰る直前に言われても、する時間ねぇだろうが」


 俺の言葉にミナトが微笑み、カレンが膨れっ面。


 あれ、キチンとお礼を言ったはずなんだが、なんでカレンは機嫌悪いの……。




「では帰りましょう、私たちの生まれ育った街へ!」


 帰りもミナトの運転手である金髪ハーフイケメン、ジェイロンさんに黒塗りの高級車で送ってもらえたが、さすがに疲れていたせいか、三人とも寝てしまった。




 一時間後、実家である喫茶店に到着。


 俺はそこで降り、二人に頭を下げ、もう一度お礼を言っておいた。



「ただいまー、あー疲れた……」


「うわぁぁリュー兄帰って来たぁ! ヤったの? ねぇリュー兄ヤったの? あとあの写真酷過ぎ、お父さんとお母さんも爆笑してたよ」


 玄関に入ると、妹のリンがすっ飛んできて、興味津々に俺の周りをグルグル回る。


 ……コラ、中学一年生の女の子がヤったの、とかカタカナで聞こえる言い方はやめなさい。


 あとあの写真、両親にも見せたの……ああ、そう……。


 


「夢のような時間は終わり。明日から高校だ……」


 夜、自室で寝ようといつものジャージに着替えるが……なんか甘い香りがする。


 ……これは……ミナトだな。


 ふと高校の制服に鼻を近付けると、甘い香り。


 ……これは……カレンだな。


 そしてベッドからも二人の甘い香りがする。


 そういえば、ホテルに行く直前に二人が裸で俺の服を着て、俺のベッドで大興奮でくねっていたことを思い出した。


 あれ、何だったんだろう。



 ……うーん、なんか興奮して……寝れないぞ。












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