第13話 ホテルのプールで水着選択と記念写真




「どうですか、リュー君! 触りたくなりましたか? ふふ」


「あんまこういうの着ねぇけど、ほとんど丸見えだな、これ」



 幼馴染み二人に誘われて来た高級リゾートホテル。


 黒髪お嬢様であるミナトの会社がやっているホテルで、それはそれは豪華。お値段はちょっとかかるが、おそらく値段以上の満足度を得られると思う。


 何かの記念日や、大事な人と特別な時間を過ごしたい、という人にお勧めする。



 ホテルにはプール施設もあり、レンタルの水着があるので、手ぶらで来ても楽しめる。


 俺は適当に水色のハーフパンツタイプを選んだが、更衣室から出てきたハイスペック美女二人の華やかさたるや、マジでモデルさんか芸能人クラス。


 バイキング形式の朝食を終えたあと、ミナトが水着を選んでくれとパンフレットを見せてきたので、なんとなく二人に似合いそうな物をチョイスしてみた。


 正直、幼馴染みの二人、ミナトとカレンはスタイル抜群で、おそらく何を着ても似合うと思うが。


 黒髪お嬢様であるミナトに俺が選んだ水着は、赤系のフレアビキニというタイプ。


 胸部分にフリルが付いていて、結構可愛い系のやつ。


 ミナトって清楚系お嬢様に思われがちだが、中身はかなりの情熱系。なので赤系の色を選択してみたが、うん、似合っている。


 ミナトがニッコニコ笑顔で触りたくなりましたか、と言ってきたが、それはもう……おっと、ここでだらしない顔して二人に嫌われるのもマズイ、冷静に冷静に。


「似合っているよ、ミナト。俺が選んだ水着を着てくれてありがとう」


 そう、ここで言うべきは、お礼。


 ミナトだって自分の好みの水着を着てプールを楽しみたかったはずなのに、俺が選んだ物を着てくれているのだ。感謝しかない。


「カレンもありがとう。とっても可愛いよ。思わず写真を撮りたくなるぐらいだ」


 金髪ヤンキー娘、カレンが着ている水着の肌露出を確認しているが、俺が彼女に選んだのは、黒色のホルタービキニというタイプ。


 スポーツ少女であるカレンは、とにかく足のラインが綺麗なんだ。


 それを引き立てるような物、と俺が選んでみた。


 って写真を撮りたくなるって、誉め言葉じゃなくて、俺の欲だ……言葉の選択ミスったかも。


「ふふ、またリュー君好みの女にされてしまいました。お写真ですか? リュー君も一緒でしたらいいですよ。三人の思い出、記念ですし、これが証拠にもなりますし……ふふ、ジェイロン、写真を」


「はは、お任せを」


 ミナトが不気味に微笑み、金髪ハーフイケメンのジェイロンさんを呼ぶ。


 証拠……?


「しかしまぁ、昨日私たちの裸見といて今日水着って、なんか順番違う気がすっけど……まぁリューが見たいっていうんだからいいけどよ」


 カレンが俺の右隣にぴったりくっついてきて、俺の腕にその大きくて柔らかい物を押し当てながら微笑む。


 うっわ、クッソ可愛いぃ……。カレンって言動はヤンキー娘なんだけど、ところどころの仕草がドキっとさせられる。


 あと昨日のお二人の裸につきましては、確かに見ましたが、見ていません。


 そういうことにしておいて下さい……。


 つか、こういう公の場所で言わないで。


「では私はこちらの場所をいただきますね。ふふ、リュー君の左側、落ち着きます」


 黒髪お嬢様ミナトもカレンに習い、俺の左隣にぴったりとくっついてくる。


 むぉぉお……ミナトのお胸様はカレンより大きいので、そのボリューム感が腕にモロに来る……。


 か、顔に出そう……


「はい、5432、1、ズン」


 二人のハイスペック美女二人に挟まれ、顔が欲に負けて緩まないように耐えていたら、鍛え上げられた身体のイケメン運転手、ジェイロンさんが謎のリズムでカウントダウン。


 え、今のカウントダウンのどこで写真を撮られたの? ズン?


「ありがとう、ジェイロン。あら……リュー君の顔面白ーい、うふふ」


「どれ、うーわ、ははは! なんだこのリューの苦悶の表情。そんな耐えなくても、欲のままに私たちを抱きゃあいいのに」


 二人が写真を見て爆笑。


 俺も恐る恐る確認してみたが、そこには美女二人に密着されて必死に何かに耐えて苦悶の表情をしている男が写っていた。


 こんな写真、妹のリンに見せたら涙を流しながら大爆笑されそうだ。


「ではこれをリンちゃんに送っておきましょう。私たち、幸せでーす、っと。はい、これで思い出と証拠が一つ出来ました、ふふふふ」


 ミナトは大企業のお嬢様。さすがに自分の水着写真を拡散することはしないだろう、と思い油断していたら、速攻で携帯端末を操作し、俺の妹のリンに送信していた。


 え、リンの連絡先知っているんかい! 


「あっははは、リン、これ見たら泣くんじゃねぇかな! あの純朴だった私のお兄ちゃんが余裕の笑みで女二人侍らせてるーって、ははは」


 金髪ヤンキー娘、カレンが大爆笑。


 いやさっきあなた、俺の顔を苦悶の表情って言ったじゃないすか! あれのどこが余裕の笑みなんだよ!



 ああもう……思い出でも証拠でもいいから、せめて笑顔の写真を撮らせてくれ……!











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