第12話 寝起きのサンドイッチと朝食サンドイッチ
「おはようございます、リュー君。ふふ、寝顔、可愛かったですよ?」
「んぁ……」
なんだか頬あたりを押されている刺激で目を覚ます。
ぼーっとしながら、視界に飛び込んで来る映像を処理。
黒髪ロングの……あれ……ミナトじゃん。なんで俺の部屋にミナトが……って違う、ここホテルだ!
「お、おはよう……!」
急に脳が動き始め、俺はガバッと起き上がる。
そうだ、昨日は幼馴染み二人に誘われて、海の側にあるリゾートホテルに来たんだ。
ミナトの会社のホテルで、超豪華なとこ。
「リュー君は朝は何を飲みます? 緑茶に紅茶、コーヒーもありますよ」
なんで俺ソファーで寝て……そうだ、昨日は結局ソファーで寝たんだった。
ミナトがにっこり笑顔で聞いてくるが、生地の薄い白いワンピースみたいな服なので、朝日に照らされ中が透けて見えてしまう。
綺麗だなぁ……ミナト。
見た目モデルさんだし優しいし、よく俺、こんなすごい女性と幼馴染みになれたもんだ。
まずい、ボーっと眺めてしまった。俺は慌ててミナトの質問に答える。
「こ、紅茶にしようかな」
「はい、今作りますね。ふふ、このやり取り、長年連れ添った夫婦みたいですね」
夫婦? いやいや、お互い十六歳で長年連れ添った夫婦はないだろ。
確かに子供の頃からの知り合いで、付き合いは長いけど。
掛け布団を片付けつつ周囲を確認。
大きな丸いベッドでは、金髪ヤンキー娘カレンがまだ寝ているな。
そうだ、昨日、寝る場所でまた揉めて、窓の近くにあるソファーで寝たんだった。
二人からは執拗に、ベッドで三人川の字になって寝ましょうとか誘われたが、断固拒否してソファーを選択した。
……さすがに女性二人と同じベッドはまずいだろ。
「……カレン起きろ。もう朝だぞ」
ミナトの方を見ると、三人分の紅茶を用意しているので、俺はカレンも起こすことにする。
カレンは緑のハーフパンツに黄色いロングTシャツというスタイル。
「……ぁぁぅ……」
何か夢を見ているようで、カレンが謎の言葉を漏らす。
掛け布団が隅っこに追いやられ、何もかけずに寝ているが……ったく、布団とか全部蹴っ飛ばしたのかよ。
しかし……ミナトもそうだが、もう一人のハイスペック幼馴染み、カレンも成長したよなぁ。
大きなお胸様とか大きなお尻様とか、つい手が伸びそうになる。
って当たり前だが、ブラジャーとか付けていないので、カレンが動くたびに大きくて柔らかそうな物が形を変えていく。
……すっご、大迫力。
いやまぁ、実は昨日、ミナトとカレンとかいう裸の恐竜に襲われかけたので、お二人の服の下、お美しい身体を見てしまったので、なんとなくこの服の中身がどうなっているかは分かるんだけどさ。
うん、知っているから余計に頭に映像が浮かんでしまう……。
「カレン、起き……」
「むぁぁ……んん……あ、リュー、なんだよ結局抱きにきたのかよ……おっせぇんだって……」
カレンの目がゆっくり開き、俺を認識した途端笑顔になる。
そして次の瞬間、カレン自慢の長くて綺麗な足がガバッと開き、俺の腰あたりをガッツリ挟んでくる。
んごっ……! 朝からいきなり締め技喰らわせてくるとか、なんなんだこの金髪ヤンキー娘は……!
だめだ、とんでもない力で吸い寄せられる……!
「うわっ……」
「ぅへへ……リュー来た……もう逃がさねぇ……!」
俺は耐えきれず倒れ込み、カレンに覆いかぶさってしまう。
なんとか腕で耐え、顔がぶつからないようには出来た……が、ニヤァとカレンが悪魔みたいな笑みを浮かべたと思ったら、両腕、両足を俺に絡ませ抱き寄せてくる。
むぁぁ……! カレンの金髪から甘い香り……そして大きくて柔らかい物が二つ押し当てられ……!
「あああああ! ずるい……! どうして私には襲いかからず、カレンにだけ……! ずるいですリュー君、私も……!」
後ろからミナトの悲鳴が聞こえ、次の瞬間背後からも良い香りの柔らかい物が……!
朝から二回目の恐竜の襲撃を受けたが、俺はなんとか二人をなだめ、ホテルの朝食バイキングに来た。
「おはようございます、ミナトお嬢様。カレン様、リューイチ様もこちらへどうぞ」
朝から疲労でぜぇぜぇ言いながらレストランに入ると、ミナトの運転手の金髪ハーフイケメン、ジェイロンさんがビシっと華麗な仕草で頭を下げ、俺たちを席に誘導してくれる。
疲労状態の俺を見たジェイロンさんが笑顔で頷き、握りこぶしからのグイっと親指を立ててくるが、それは何を理解しての何のポーズなの。
俺はなんもしてねぇぞ。
とりあえず豪華な物が並んでいるが、軽くサンドイッチとコーンスープ、それとフルーツ盛り合わせをチョイス。
家では朝はいつもご飯だが、せっかくホテルなんだし、こういうときは洋食を選んでみよう。
俺の動きをじーっと見ていたミナトとカレン。二人も俺と同じ物を選び席へ戻る。
「ふふ、朝からリュー君と同じものを食べられている……幸せです」
「珍しいなリュー、お前基本和食派だろ。スープうまぁ! おいリュー、これやべぇぞ!」
ほんと、この二人って反応が正反対だよな。
しかしこの三人で朝食を囲むとか、こんな日が来るとはな。中学の疎遠時代を考えると、ちょっと嬉しい。
「あれ、リュー君がご機嫌です。朝からスッキリされたから、かしら。ふふ」
「おお、さっきのリューすごかったな。私たち相手に力強い動きで抑え込んでくるとか、もう私はリューのされるがままだったぜ」
俺が一緒に朝食を囲む二人を見て微笑んでいたら、とんでもなく誤解されそうなコメントが返って来た。
それ聞いたジェイロンさんが満足そうに微笑み、また俺に向かって例のポーズ。
俺は別に朝からスッキリしていないし、二人を力で抑え込んでもいない。
二人にいきなり前後から抱きつかれたので、申し訳ないがちょっと脇を優しく撫で、くすぐったくて力が抜けた瞬間、幼馴染みサンドの具状態から脱出しただけだ。
「それでリュー君、このあと私たちが着る水着を選んで欲しいんです」
ホテルでのバイキング朝食を終えたころ、黒髪お嬢様ミナトが女性物の水着がたくさん載っているパンフレットを見せてくる。
え、水着を選ぶって、何でしょう……。
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