第5話 可愛いメインヒロインなら堕としたい
「では、契約成立ですね。」
サラサラと派閥申請の用紙と同意書に記入を進める俺を、
そうやっていると歳相応の可愛らしさが見えるが、目は一字一句俺の記入する字を追っている。不備や虚偽を一つも見逃すまいとする目は獲物を逃さないように
睨む蛇のようだ。
お前は蛇だ!人を騙し喰らうヘビめ!俺は市民のカード選ぶぞ!
あれこれ負ける方のセリフだっけまぁいいか。
手続き自体は簡単に終わった。えっこんなんでいいの?とも思ったほどだ。
会長の言葉ではないがもともと4大派閥のトップを落とす気で俺は行動していたし、そこに生徒会長公認の俺の派閥ができたことは決して向かい風ではないはずだ。
やることは変わらない―――4大派閥四天王を堕とす(前条原生徒会長は契約上最後。あと怖いし。)
「
「受けたからには頑張りますよ」
「楽しみにしてます」
傍からみると和やかな会長の笑顔は「失敗はするなよ」と無言の圧を感じるほどには恐ろしかった。
「また生徒会の者を通じて御呼びしますので、進捗など聞かせてください。
あと、お困りごとがあれば力をお貸しすることができるかもしれません。」
もちろん計画を進めるうえで必要なことであればと付け加えて。
「わかりました。では、失礼します。」
バターンと生徒会室の大きな扉が重厚な音をたてて閉じられた。
生徒会長は扉が閉まりきる最後まで俺を見ていた気がしたが気のせいだろう。
前条原生徒会長との契約が終わり
昨夜はこれからどうしていくかあれこれ考えていたせいで寝不足で少し遅刻ギリギリになってしまった。
ふぁあとあくびをしながら速足で校門を抜けると、ふと校舎隅ごみ捨て場で女子生徒数人が集まっているのが見えた。
なんかの集まりか?派閥で朝礼でもやってんのかな。
「うちは他の会社と違って特別な朝礼をやってるんだ。ほら、はやく君も真似して」なんていう会社はやめておけって親父が言ってたな昔なんかあったんだろう。
あまり気にならなかったが、女子生徒の集団のなかに白い肌に銀の髪をした少女の後ろ姿だけやたらと目にとまった。
モデルや留学生も多く在籍する本校で別に珍しくないはずなのに、横目に追いかけてしまったが下駄箱に着くとすぐに忘れた。
授業が始まっても、これからどう行動ていくべきかうーんと唸っていたら昼休みになってしまった。
「まずは人員の確保が先か?派閥を大きくして存在が認知されれば4大派閥への足掛かりなるか。」
男子生徒による派閥結成がなされたが生徒会公認とはいえ人数が一人では他派閥を取り込むことも、他派閥に取り込まれることも難しいだろう。
男子生徒の学校での立場が弱い以上、派閥人員の男子生徒割合を増やしてもあまり意味はない。烏合の衆は見向きもされないだろう。
「まずは..権力ありそうな女子生徒だな。」
購買で買ったパンを片手に自販機で飲みものを購入しながらつぶやく。
もがもがとパンをほおばり張りながら校舎裏のベンチにもたれかかる。
「まずはいろいろと話しを聞きにいかないとなぁ。声かけたものの他派閥の人間で引き抜きになったりしたらとんでもないことになるだろうな。ってか男の俺の派閥に入ってくれる人なんてそもそもいんのか?」
顎に手を当てぶつぶつとつぶやきながら考えていると。
今朝見たのと同じ女子生徒の集団がぞろぞろと歩いていく姿が見えた。
こっそりと後を付けて聞き耳を立てていると。
「
どうやら聖園さんとやらが派閥勧誘を受けているらしい。こんな感じで派閥に勧誘するのか俺も勉強のために少し覗かせてもらおう。
あの子が聖園さんか。オーラある子だな、どっかのお偉いさんお娘とかか?
華奢な体躯に反して白銀の髪は磨き上げられた一振りの剣のよう存在感があり、澄み切った瞳はどこまでも見通すかのように輝いている。
それにしても可愛い。こんな真っすぐで綺麗な子がいたか?
ファンタジー物の女勇者がいればこんな子だろうなんて思った。
でも女勇者よりも天使のが似合うほど可憐だ。
俺、白とか銀の髪のキャラ好きなんだよぁ。
なんて考えているとその「天使」は口から、天使足り得ない言葉を発した。
「うるせぇ、ブスぶっとばすぞ。」
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・聖園アリス
白髪白銀の女の子。喧嘩っ早い。
近況のノートに知人が作成してくれたイラストがありますのでぜひ!
https://kakuyomu.jp/users/oideyasuhannari/news/16818093079417107954
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