第3話 扉をノックしたら堕としたい

四天王が一人前条原ぜんじょうばら派閥のトップ前条原ぜんじょうばら凛生徒会長。

黒く長い髪はあそこだけ空間の一部を切り取ったような深い黒で違った意味でこの世とは思えない美しさがある。

四天王というより四天王を倒したら出てくるラスボスみたいな人だ。

ニコニコと愛嬌を浮かべる笑顔の目は笑っていない。^^←絶対怒らないって約束守れない人の目をしてる。

しかしながら改めて見るとすごい綺麗な人だなぁそもそもの人間の造形が違うね。FFとかに出てた?いや、興味ないね。



「どうも、前条原ぜんじょうばら先輩」


楳本むめもとさんにいくつか確認したいことがありまして、御呼び致しました。お忙しいところすみません。」


生徒会室における前条原先輩の呼称は「生徒会長」だ。チラッと横目に見た他の生徒会員の反応からも前条原先輩呼びは間違いではなさそう。

となると公的な用件ではなく私的な用件での呼び出しに生徒会室を使っただけ?いや、考えすぎか?


「楳本さん、今日は4人の女の子に告白したそうですね?私も含めて。」


「・・・よくご存じですね、素敵な女性が4人もいたので勢いあまって全員に告白してしまいました。結果は散々でしたが。」


「少し誠実さに欠けるのではないですか?告白するのにしもどなたか一人に絞っては?」


「ええ、そうしたいのは山々なのですが魅力的な方が多く..」


お前はどこの派閥に介入しようとしているんだ。目的はなんだって感じか。探られてるな。

どうするべきか。無難にやり過ごしたいところだが....。


「楳本出灰1年1組出席番号21番血液型B型入学試験はボーダーよりも少し上、運動もまぁ悪くないですね。性格は野心家で健康状態はおおむね良好。ご家族はご両親と妹さんが一人。お父様が1か月前に地方に出張行かれてますね。」


前条原は机でパラパラと資料を捲りながら告げる。なんでもないことのように。


「生徒会といえど、その範疇を超えてないか?」

睨めつけるように会長を見ると、取り巻きの空気がピリッ変わる。


「裁量が大きいもので。」

一教師よりも権力のある生徒会だ。この程度であればすぐに調べることができるということか。

あれ?と前条原会長は資料見ながら少し訝しげに俺に「聞きたいいんですが」と続ける。


「女性関係はどの年齢においても情報がありません。」


おい。ふざけるな。

役員に「ここは調査ミスですか?空欄になっています」じゃねぇよ。違くねぇよバッチリ合ってるよ。ないんだよ。



「まぁさておき、楳本さんこの資料は深い意味はありません。一つお願いしたいことがあるんですよ。」


「あぁ!!予備校に行く時間だ。そうだそうだ申し訳ないそれじゃあ前条原先輩失礼します。」

俺は思い出したかのように嘘を付いてスタスタと扉に向かって歩く。が俺の前に役員が門番のように立ち塞がる。

絶対めんどくさいことだ間違いない!


「予備校なんて行ってないですよね?」

資料をヒラヒラとさせながら前条原先輩はこちらに笑顔で言う。


「前条原先輩...俺はあなたに振られて傷心してるんです!このセンチな心はガラス細工のように脆く壊れようとしている!その俺にお願いだなんてこれ以上俺を苦しめないでください!!!」およよよと悲鳴をあげていると。


前条原生徒会長は少し真面目な顔をする。

「そう。あなたは4大派閥、学園では四天王なんて揶揄されますがその四人ともに愛の告白と称して取り入ろうとした。

青藍坂学園における男子生徒の地位は低く、その現状に不満も抱く人間は多いが行動に移す者は少ない。その胆力と行動力を私は評価しています。」



たたけよ、さらば開かれん」


新約聖書で「求めよ、さらば与えられん。」なんていう文のもうちょい下のほうに書いてある言葉だとかなんとか。詳しくは俺も知らいないがキリストの言葉だった気がする。意味はを恐らく同じような感じだ。


「...キリスト教の方でしたか。」


「いいえ、政治と宗教はややこしくなるから齧る程度です。」

そんなさらにややこしくなりそうな事を言いながら会長は続ける。


「突如の幸運、運命的な出会い、分かち合う秘密、そんなものは幻想に過ぎません。欲しいものがあるのに口を開けて待っている輩に用はありません。

私が関心を向ける者とは求め、扉を叩いたものだけです。」



「・・・・・つまり?」



「君に派閥を作ってもらいます!!!」


なんてろくでもないことを言い出した。なんか俺の再評価路線じゃなかった?この人やっぱり色んな意味で怖い。なんか笑ってるし。



もしもし母さん、可愛い女の子がたくさんいる予備校の扉叩いといてくんない?


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