第2話 頭の中では堕としたい

四天王4人に告白し完膚なきまでに撃沈した楳本出灰むめもといずるはぶくぶくと沈むように机にうなだれていた。





なぜ四天王4人ともに告白したのかといえば、4人とも可愛かったからである。

四天王4人とも学園の人気者で容姿もかなり優れている好きか嫌いかと言えば好きだ。


決して、昨晩読んだハーレムものを真に受けて「これこそ理想形だ!」と思ったからではない。


断じて違う。最近5つ子だとかハーレムすぎてみたいなのが流行ってるから仕方ないじゃん。




適当なことはさておき、もちろん考えはあった。青藍坂学園で男女交際をしている人間は少ない。


派閥に重きを置く女生徒は恋愛など目もくれないものがほとんだ。


そんな中、四天王に告白する人間はさぞ稀有だろう。これは後からじわじわと効いてくる毒だ。




「告白なんて初めて(はぁと)」




「ふーん、あんなやつもいるんだ ポッ」




「なんなのあいつ...///」




「見どころがあります キュン」






ふはははは!これが楳本特製の「なんか告白されたらあいつのこと意識しちゃって♡」作戦である。


もう氷山の一角は崩れようとしている!みんなぁー!危ないぞ!恋の雪崩に巻き込まれてしまうぞ!!




ウンウン我ながら見事だな。と思っていると




すぐ後ろの教室のドアが勢いよく空いた。クラスメイトがぎょっとする中で腕章に兵士を思わせる佇まいの女生徒は生徒会と思われる人だった。


2年生だろうか目鼻立ちはくっきりとしており兵士兼秘書みたいな人だ。なにやら険しい表情で教室中を見渡す。






楳本出灰むめもといずるという男子生徒はいるか」






「俺ですけど」




急に出てきた自分の名前に驚きつつも慌てて返事をする。






生徒会の女生徒は「付いてこい」と一言添えると廊下に歩き出した。あれ今この人舌打ちしなかった?




兵士兼秘書の生徒会の人は生徒会室への道すがら無言でスタスタと前を歩く。その態度にはどこか怒気を感じさせる。






そんなことを考えていると生徒会室まで着いてしまった。いつも見てもでかいな生徒室の扉。立派だ王様でも住んでんじゃないのん。




コンコンコンと生徒会室の扉をノックする。えらいノックは2回だとトイレじゃないぞって怒られるからなさすが秘書の人。


「失礼します、楳本出灰むめもといずるを連れて参りました。」




「入ってください」




ギィィと音共に扉をゆっくりと秘書さんが開く。


王の謁見の間を思わせる生徒会室。


生徒会の役員と思わしき数名が傍に控えながら奥の生徒会長席で笑みを浮かべる人物。




生徒会長 前条原凛ぜんじょうばらりん






「さっきぶりですね、楳本むめもとさん」

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