教室の眩しい光たちの煌めき。でもその光も実は影で……

大人になってふと、学生時代の教室の空気を思い出すことがないでしょうか。
振り返れば……上手に振る舞ってきたつもりだけれど、どこか息苦しさもあったかもしれません。

うまくやっているつもりでも、誰かの視線、グループの輪郭、その中でうまく息ができなかった自分が、本当はいたのかもしれない。

この物語は、そんな少し息苦しい世界で、光と影のように対照的な二人が出会う物語。
でも、光だと思っていたのものも実は、自分と同じような影で。

ドラマチックな友情ではないんです。
偶然見つかった二人だけの場所で、言葉少なにごく自然に隣にいる。多くを語り合わず、ただ互いの時間に寄り添うような、その淡々とした関係性がかえって深く心に響きますす。

派手さはないけれど、心の奥深くにしまっていた記憶を優しく揺り動かされるような、繊細で美しい時間。
忙しない日々に少し疲れた時、かつての自分と静かに向き合いたくなる。そんな夜に、おすすめです。

その他のおすすめレビュー

安曇みなみさんの他のおすすめレビュー94