第62話
互いに襲撃の日を擦り合わせたように、百鬼夜行は、俺が予想した日に開始された。
日の本の国々で妖怪たちが、人々を脅かすために襲いかかる。
俺は江戸の夜が静寂に包まれる中、闇の中で静かに戦いが始まっていた。
本当は美波藩に戻って蘭姫様を守りたい。
だけど、俺が今から戻っても、もう間に合わない。
彼女を信じることにした。
江戸の街を守るため俺たちはそれぞれの持ち場に散り、江戸を守るための戦いに挑んでいた。
九鬼影衛門の勢力が江戸に襲い掛かろうとしているこの状況で、俺たちはすべての力を結集して対抗していた。
まず、暴れ回っている妖怪たちに対して、陰陽師たちが動き出した。
彼らは江戸中に張り巡らされた結界を強化し、妖怪たちの動きを封じるための呪文を唱え始める。その呪文の力は次第に結界に浸透し、江戸全体を包み込んでいった。
「陰陽師たちの力で妖怪どもを封じ込める…これで奴らの動きが鈍るはずだ」
陰陽師たちが操る霊力の結界は、ただの物理的な障壁ではない。
それは妖怪たちの存在そのものに干渉し、彼らの力を削ぎ、動きを鈍らせる。結界が完全に展開されたことで、妖怪たちは苦しみの声を上げ、その動きが明らかに鈍化していった。
「この結界があれば、九鬼の妖怪を使った策略も封じられる」
俺は陰陽師たちが展開した結界を見ながら、彼らの力に感謝していた。妖怪たちの力が封じられれば、次に動くのはお庭番集の番だ。
お庭番集は江戸幕府が誇る隠密部隊であり、その活動はまさに影の如く静かで速やかだ。
彼らは九鬼影衛門の手下どもが潜んでいる場所を一つずつ潰していく。妖怪だけじゃなく人の動きも完全に封じ込める。
彼らの動きは俊敏で、敵に気付かれることなく潜入し、無力化していく。
「お庭番集が九鬼の手下どもを次々に潰している…」
俺はその報告を受け、胸に安堵の気持ちが広がった。
お庭番集の一人一人が、九鬼の手下たちを捕らえ、潜伏先を壊滅させていく姿を想像する。彼らの活動は、まさに目に見えない刃が敵を次々と切り裂いていくようだった。
「九鬼影衛門の情報網もこれで崩れていくだろう」
次に動いたのは江戸の裏社会を影で支える仕事人たちだった。
彼らは普段、表に出ることのない影の存在であり、その腕は誰もが恐れるほどに熟練している。彼らは九鬼影衛門の拠点を急襲し、隠れていた手下どもを次々に始末してくれた。
それだけじゃなく、民衆を襲うことで混乱を生もうとした相手の出方を挫くように、俺が見抜けなかった場所を補填してくれた。
「これで九鬼の勢力も大きく削られていく…」
仕事人たちの手際は驚くほどに早く、彼らは敵に一切の隙を与えることなく仕留めていく。暗がりの中で、無言のまま敵を倒し、後には何も残さない。
まさに闇の集団だ。
その一方で、剣客たちも動いていた。
江戸の剣豪たちが集まり、正面から襲ってくる九鬼の勢力を一掃するために剣を振るっている。剣客商売の秋山はその中心に立ち、柳生一門と共に江戸の各所を巡り、九鬼の手下どもを斬り伏せていく。
「剣客たちが動いている…」
秋山の剣はまるで風のように軽やかに、しかし力強く敵を切り裂いていく。
その一撃一撃が、九鬼の手下たちに深い傷を与え、次々と倒れていく。
その様子はまさに剣技の極みであり、九鬼の勢力を大きく削ぐことに成功していた。
「柳生一門が加わるとは…」
柳生一門は江戸に名を轟かせる剣術の一派であり、その剣技は多くの剣士たちが畏敬の念を抱くほどだ。彼らがこの戦いに参加してくれることで、俺たちの士気はさらに高まった。
「これで九鬼影衛門の勢力はもう終わりだ」
江戸の街は徐々に静けさを取り戻しつつあったが、それでも俺は気を抜くことができなかった。
九鬼影衛門はこれほどの攻撃を受けてもまだ動いていない。奴が最後の一手をどこで繰り出すのか、それを見極めなければならない。
陰陽師たちの結界は江戸中に張り巡らされ、妖怪たちはその中で次々と封じ込められていく。
お庭番集は九鬼の情報網を徹底的に潰し、仕事人たちは裏社会の敵を一掃していた。そして剣客たちは、九鬼の手下を次々に斬り伏せ、江戸の街を守っていた。
「これで江戸の夜は守られる…」
俺は戦場の状況を確認しながら、次の一手を考えていた。
すべての準備が整った今、あとは九鬼影衛門がどう動くかを待つだけだった。
しかし、彼が動かないということは、何かまだ見えない策を隠し持っているということだ。
「油断するな…奴がまだ何かを仕掛けてくるかもしれない」
俺は自分に言い聞かせるように呟いた。江戸の夜が静けさを取り戻しつつあるが、まだ戦いは終わっていない。最終決戦は、まだ始まったばかりだ。
九鬼影衛門の手下どもは次々と倒れ、妖怪たちも封じ込められていく中で、俺たちは最後の勝利を掴むために、さらに緊張感を高めていた。
江戸の街は、今まさにその未来を賭けた戦いの真っ只中にあった。
「鷹之丞様! 港に巨大な船が現れました! 砲撃が飛んできます!」
「なっ!?」
そんな話は小説の中に出てこなかった。
新之助が言うように高い場所に上がって港を見れば、黒船が港で砲台を江戸に向けていた。
「九鬼!!!!」
俺は港に向けて駆けた。
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