第61話

 江戸の街は、闇夜の静けさの中にある種の緊張感が漂っていた。


 俺は自分が持っている切り札を使って、江戸の将軍様と副将軍様を味方につけた。


 その協力を得られたことは俺にとって最大の功績と言えるだろう。

 確かに、活躍をして出世をしようと思えば、全て自分一人で解決することが良いと思う。


 だが、確実に勝利を掴む方法を俺は選ぶ。


 江戸幕府の戦力は、この江戸を守るために集結している。


 将軍様の呼びかけに応じて、全国の侍や忍、陰陽師、坊主など戦う者たちは全て妖怪を迎え撃つための準備を進めてくれた。


 江戸幕府が抱える暗殺部隊。陰陽師たち、そしてお庭番集 。


 そして、ここにいる俺たちも、江戸の平和を守るために動く。


「将軍様のご威光で、今回の戦いは我々が勝利を収めるだろうが、油断は禁物だ」


 俺は、自らの計画を練り直すため、もう一度全体の戦力を見渡すことにした。


 配置や今回の作戦の要を担うのは俺だ。


 まずは、江戸の裏社会に暗躍する九鬼影衛門との最終決戦に向けて、協力を確約するための場面から始めよう。


「これで話は決まったな、鷹さん」


 俺の前に座るのは、江戸の名奉行、遠山の銀次殿だ。

 その肩には彫られた桜吹雪の刺青がある。

 銀次さんは微笑みながら、俺に盃を差し出した。


「鷹さん、これで江戸の夜を守る者たちが一丸となった。あとは、それぞれが力を発揮する時ですな」

「はい、銀次殿。これで江戸の平和を守るための準備は整いました。だが、九鬼影衛門はただ者ではない。奴の策は非常に巧妙で、一筋縄ではいかないでしょう」

「ふん、それでも我々には強力な仲間が揃っている。暗殺部隊まで動くとはな。奴らは普段江戸の街に潜み、仕事人として働いている。俺も姿も知らない奴らだ。妖怪たちも誰が敵か、餌なのか見極めながら戦わなくちゃならないとはな」


 一気に盃の酒を飲み干した。


「既に待機しています。あの連中が動けば、九鬼の手下どもなどひとたまりもねぇだろうな」

「はい。しかも今回は、江戸の剣客たちも協力を約束してくれました。柳生家の剣士たちもこの戦いに参加する。江戸の剣豪たちが一斉に動けば、九鬼の勢力は瞬く間に壊滅するでしょう」


 俺は銀次殿の言葉に力強く頷いた。


 江戸の剣客たちが集まるということは、それだけで強大な戦力になる。

 特に、剣客商売の秋山や、剣豪・柳生一門の協力は心強い。


「それだけではないぜ、鷹さん」

「岡っ引きたちも参戦するようだ。江戸には、銭形もいる。奴の投げ銭の腕は、どんな相手でも逃さない。九鬼影衛門がどこに潜んでいようと、銭形が必ず見つけ出すでしょうな」


 江戸の街に住む者たち全てが、俺の味方になって活躍してくれる。


 これほどの安心感が広がるほどの存在が集まって負ける要素など考えられない。

 俺は心の中で大丈夫だと言い聞かせる。


 だが、油断はできない。

 まだまだ気を引き締めなければならないと自戒した。


 お庭番集は、江戸幕府の隠密部隊として知られており、その腕前は天下一品だ。

 俺の用意した九鬼が襲撃する場所に対して、さらに先手を打つための方法を考えてくれる。


「そして、我々には最後の切り札がある」

「将軍様のお抱えの江戸幕府最強の陰陽師たちが、江戸全体を守護してくれている」


 今回、妖怪たちの動きを封じ込めることが、もっとも重要なことだ。

 ぬらりひょんがどれほどの力を持っていようと、陰陽師たちも、ぬらりひょんの存在があることがわかっていれば、対策を講じてくれる。


 今回は、九鬼とぬらりひょんを分断することが一番重要なポイントになる。


 ぬらりひょんは、人間社会にそこまで強い心を持っているわけじゃない。

 だからこそ、九鬼の悪意に惹かれてやってきていると判断できる。


 陰陽師たちの協力があれば、妖怪たちの脅威も一時的に封じ込めることができる。


 ぬらりひょんを抑え込めば、九鬼影衛門を追い詰めるための舞台が整う。


「将軍様が陰陽師たちを動かしてくださるとは、心強い限りだな。これで江戸の平和を守るための最終決戦に挑むことができます」

「そうだな、鷹さん。これからが俺たちの本当の勝負だ。全力で挑もうぜ」


 俺たちは江戸の町の各所に罠を仕掛け、九鬼影衛門の動きを待ち伏せることにした。


 剣豪たちが江戸の街を守り、仕事人たちが裏の道を封じ、お庭番集が九鬼の潜む場所を探し出す。そして、陰陽師たちが妖怪の動きを封じるために準備をしている。


「いよいよだな…」


 俺は自分に言い聞かせるように呟いた。


 この戦いが終われば、江戸の平和が戻る。

 だが、ぬらりひょんと九鬼影衛門が手を組んでいる限り、油断は禁物だ。


 ここは小説じゃない。現実の世界なんだ。


「九鬼、必ずお前を捕らえる。そして、ぬらりひょんの野望も打ち砕いてみせる」


 俺は剣を握り締め、心を奮い立たせた。


 江戸の夜が深まる中、俺たちは最後の決戦に向けて動き始めた。


「江戸を守るために、全力で挑むぞ!」

「おう! 付き合うぜ」


 江戸の町が再び平和を取り戻すために、俺は闇に向かって剣を振り下ろした。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る