第56話

 徳田徳ノ真殿の紹介で、忍びたちとの連携が始まった。

 

 彼らの情報力と機動力は風車弥一に匹敵するのではないかと思える。

 特に、頭目を務める男女は異常な強さを誇っている。


 九鬼影衛門が誇る、情報網を次々と潰していく計画を立てた。


「鷹之丞様、次の標的は神田の賭博場です。九鬼の手下が集まっているとの情報が入りました」


 忍びの一人が報告してくれる。

 その瞳は鋭く、経験豊かな者であることが一目でわかる。


「よし、神田の賭博場を襲撃する。新之助、ゲンタ、準備はいいか?」

「はい、鷹之丞様。いつでも行けます」


 新之助が力強く答え、ゲンタも意気込みを見せる。


 夜が更け、神田の賭博場へと忍び込む。

 賭博場の外は静かだが、中では賑やかな声が響いている。


「行くぞ、皆の者。御用改めである!」


 一斉に賭博場に突入し、賭博に興じている九鬼の手下たちを制圧する。

 彼らは驚き、反撃しようとするが、こんなところでつまづいてはいられない。


 圧倒的な力で彼らをねじ伏せた。


「動くな! 神妙にしろ!」


 手下の一人を取り押さえ、尋問を始める。


「九鬼影衛門の居場所を白状しろ!」

「くっ、知らねぇよ!」


 反抗的な態度を見せる手下を、私はさらに強く締め上げる。


「…死んでも話すか!」


 手下どもは手強く、なんとか南品川の倉庫に不穏な気配があると、忍びが情報を仕入れてくれた。


 南品川の倉庫に到着すると、周囲を忍びたちが警戒してくれている。

 内部には九鬼の手下たちが潜んでいることは確実だ。


「新之助、ゲンタ、慎重に行動しろ。今度こそ奴らを一網打尽にする」


 忍びたちの指示で、倉庫の周囲を取り囲む。

 内部に突入する合図を出し、一斉に攻撃を開始した。


「御用だ! 神妙にしろ!」


 倉庫内では、九鬼の手下たちが反撃を試みるが、私たちの勢いに押されて次々と倒れていく。剣を振るい、敵を斬り伏せながら進む。


 江戸に来てからは随分と荒事が増えた。


「鷹之丞様、こいつらも九鬼の居場所を知らないようです」


 新之助の報告に、私は一瞬の焦りを感じたが、すぐに冷静さを取り戻した。


「まだ終わりではない。さらに奥を探れ」


 倉庫の奥に進むと、そこには九鬼の手下でも名のある者がいた。


「三河だな! 貴様なら九鬼の居場所を知っていよう!」

「貴様ら、ここまでたどり着くとはな。だが、ここで終わりだ」


 三河は不敵な笑みを浮かべ、封印されていた筒を開いた。

 筒からは無数の妖怪たちを召喚される。


「妖怪だと…!?」


 一瞬の驚きが走るが、すぐに剣を構え直す。


「皆の者、怯むな! 戦え!」


 無極流剣術は、陰陽術にも精通している。


「森羅万象、侍が貴様らを斬れないと思うなよ!」


 妖怪たちは凄まじい力を持ち、次々と攻撃を仕掛けてくる。

 

 だが、私たちも負けてはいない。新之助の剣技とゲンタの素早い動きで、妖怪たちを次々と倒していく。


「くたばれ!」


 妖怪を薙ぎ払い、三河に辿り着く。

 三河は最後の抵抗を試みるが、俺はその隙を突いて三河右腕を切り落とした。


「ぐうっ!?」

「これで終わりだ」


 三河を治療に回して、俺たちは次の場所へと向かう。


 忍びたちの協力に感謝しながら、私は次の手を考えた。

 九鬼影衛門を追い詰めるためには、さらに多くの手がかりが必要だ。


「新之助、ゲンタ。次の手掛かりを探すために、引き続き情報を集めてくれ」

「はい、鷹之丞様。必ずや九鬼を追い詰めてみせます」

「おいらも、妖怪たちの動きを探ってみるよ」


 二人の力強い返事に、私は再び決意を固めた。



 九鬼影衛門の手下を一掃したことで、一時的な安堵を得るも、江戸の状況は依然として緊迫していた。

 妖怪たちの活発な動きが続き、町の住民たちは恐怖に震えている。


「鷹之丞様、浅草の火事以来、妖怪の出現頻度が増えています。このままでは江戸全体が危険に晒されます」


 新之助の報告に、私は深く考え込んだ。妖怪たちの動きが九鬼影衛門と関係しているのは明らかだ。しかし、奴の行方を掴む手掛かりが乏しい。


「妖怪たちの出現場所を調査し、九鬼の拠点を洗い出す必要がある」


「はい。すでに町奉行所の者たちと連携して調査を進めています」


 その報告を聞きながら、私は新たな作戦を考えた。


「徳田殿の紹介で知り合った忍びたちと再び連携し、妖怪たちの動きを監視する。さらに、御用聞きの者たちにも協力を要請する」




 数日後、忍びたちの情報網と御用聞きの協力を得て、江戸の各所で妖怪の出現地点を特定した。これらの情報を基に、私は九鬼影衛門の拠点を推測した。


「鷹之丞様、今回の情報を基に、妖怪たちの出現地点を割り出しました。これで九鬼の隠れ家が特定できるかもしれません」


 忍びの報告に、私は緊張感を高めた。


「よし、今夜一斉に動く。奴を追い詰めるための最後の手段だ」


 夜が更け、江戸の闇に紛れて忍びたちが動き出した。私は新之助とゲンタを率いて、九鬼影衛門の隠れ家と推定される場所へ向かった。


「皆の者、ここからは一瞬の油断も許されない。九鬼を必ず捕らえる」


 隠れ家に到着すると、周囲には厳重な警戒が敷かれていた。忍びたちがその隙をついて警戒を突破し、内部へと侵入する。


「御用だ! 神妙にしろ!」


 内部では、九鬼の手下たちが待ち構えていたが、私たちの勢いに押されて次々と倒れていく。


「九鬼はどこだ!」


 手下の一人を取り押さえ、尋問を始める。


「知らねぇよ!」


 再び反抗的な態度を見せる手下を、私はさらに強く締め上げた。


「話せ! お前たちの親玉の居場所を!」

「行ってみればいいさ。上だ」


 情報を得ると、即座に上の階へと向かう。


 そこには月明かりに照らされた一人の男が窓際に座っていた。


 だが、その男は明らかに九鬼ではない。


「なんだ貴様は」

「ぬらりひょん。そう言えばわかるか?」

「なっ!? 貴様が妖怪の頭目か?!」

「ああ、そうだ。九鬼には何かと便宜は図ってもらっていてな。今回は奴の手助けをさせてもらう」

「どういうことだ?」

「若き侍よ。今宵は引きな。近々大勢でお邪魔させてもらうよ」


 そう行って男は姿を消して、どこにいるのか気配すら感じられなくなった。

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