第38話

《side 蘭姫様》


 鷹たちの活躍によって妖怪召喚事件が解決したのじゃ。

 堺の商人と唐物の商人の頭目は鷹が切り伏せてしもうたが、その残党は捕らえられた。


 じゃが、巨大な鬼によって美波藩の町は大きな被害を受けてしもうた。

 瓦礫と化した建物、傷ついた人々。復興には時間がかかると思われたのじゃが、妾の民たちはこのようなことでは負けぬ。


 皆で力を合わせてお盆の櫓を作り直して、家が壊れた者には、家が残った者たちが家を貸して、協力して復興に助力してくれた。


 じゃが、妾の心配は奥義を使った後に、意識を失い倒れたことにより、三日三晩眠り続けることになった鷹のことであった。


 新之助も同時に倒れたが、一日で目を覚ましたが、鷹は三日経っても目を覚ますことはなかった。


 鷹之丞が倒れたとき、妾は涙をこらえて鷹の側にいたいと願った。

 梅婆が、鷹を城の中で寝かせてくれて、妾は必死に看病をしたのじゃ。


 その間も、鷹に変わって町の復興の指示を出して、皆を導いた。

 いつも鷹はこんなにも大変なことを代わりにしてくれていたのじゃな。


 ただ、今は鷹が無事であることが妾の何よりも願いじゃ。


「鷹…必ず目を覚ましてくれ」


 三日三晩が過ぎ、四日目の朝……。


 ついに鷹が目を覚ました。


「蘭姫様…」

「鷹、良かった! 本当に無事で良かった!」


 気持ちが抑えられなくて、鷹の胸に飛び込んで泣いてしまう。


「看病をしてくれていたのですね。ありがとうございます」

「何をいうておる。お主が鬼を倒してくれたから、美波藩は救われたのだ」

「町は…どうなっていますか?」

「皆が協力して、復興作業を進めておる。そうじゃ、明日には盆踊りの会場もほぼ元通りになるじゃろう」


 皆が力を合わせて、元に戻したのじゃ鷹にも見てほしい!


 ♢


《side 桜木鷹之丞》


 目を覚ました俺は、泣きじゃくる蘭姫様を抱きしめて、俺の宝物を守ることができたことに安堵する。


 泣き止むまで頭を撫で続け、泣き疲れた蘭姫様を寝屋に運んで、梅婆に預けた。


「世話をかけたな」

「ご無事で」


 梅婆も歳かもしれぬな。泣かれてしまった。


 俺はおき上がって町の様子を見に行った。瓦礫の山だった場所は、見違えるほどに復興が進んでいた。人々が一丸となって働く姿を見て、胸が熱くなる。


「皆、よく頑張ってくれた!」

「鷹之丞様が戻られたぞー!!! 我らが英雄だ!」


 一人の村人が歓声を上げると、たくさんの村人が集まってきてしまう。


 新之助や以蔵先生、平八も協力し、復興作業を手伝っていた。


「よくぞ、尽力してくれた。心から感謝する! 皆の者たちよ! 今宵は盆踊りの初日じゃ! 二日間は死者を送るために踊り狂うぞ!」

「「「おおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」」」


 そして、迎えた盆踊りの夜。

 町は美しい提灯の明かりで照らされ、活気に満ちていた。


 蘭姫様が挨拶をして、太鼓が打ち鳴らされる。


「蘭姫様、いよいよ盆踊りの時間です」

「うむ、妾も踊るぞ!」


 中央広場には、大勢の人々が集まり、盆踊りの準備が整っていた。

 蘭姫様が先頭に立ち、皆と一緒に踊りの輪に加わった。


 俺は全身がボロボロで踊ることはできないが、それを見守るように長椅子に腰を下ろす。


「皆の者、美波藩のために力を合わせてくれたことに感謝する! 今夜は楽しもうぞ!」


 蘭姫様の声が、町の人々に元気を与え歓声を上げさせる。

 太鼓の音が響き渡り、踊りが始まった。美しい踊りの輪が広がり、笑顔が溢れた。


 皆の笑顔が広がり、町は再び活気を取り戻した。


「かーっかっかっかっ、良いものですな。祭りの光景というものは」

 

 太鼓に負けぬほどの大きな笑い声に驚きながら、隣を見みて、俺はギョッと驚いてしまう。


 だが、相手の正体を明かすことはできない。


「あなたは?」

「越後のちりめん問屋にございますよ。此度の一件、商人が事件を起こしたそうですな」

「堺の商人と唐物の商人が画策したようですね」

「ふむ。越後の何でも屋の商人も噛んでいたと聞いたが?」

「彼は、私の埋伏の毒です」

「かーっかっかっかっ、してこれから何をお考えになりまする?」


 夜空には満天の星が輝き、盆踊りの明かりがそれに映えて美しかった。

 俺は、蘭姫様と美波藩の人々が一つになって踊り続ける光景に視線を向ける。


 これからも、この平和を守り続けるために、俺たちは共に力を合わせていく。

 そんな決意を胸に、盆踊りの夜は更けていった。


「ただ、この平和を守りたいだけです」

「そうですかな。かーっかっかっかっ」


 高らかな老人の笑い声と共に、俺は平和な世が守られたことに安堵する。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 あとがき


 どうも作者のイコです。


 ここまでで第二部完結です。


 大体10万字弱で、一冊の本になるぐらいまできました。

 まぁ、どこからもお声はないのですがw


 もうすぐ⭐︎が1000になるので、よければ応援をお願いします。


 いつも読んでいただきありがとうございます!


 17日はお休みして、18日にちょっとしたお知らせがあります。

 それらが落ち着いたら、話を再開しようと思いますので、また今週末からよろしくお願いします(๑>◡<๑)

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