第18話 カタカナで、カミ
神、ではなく、カミ。
Godでもない。カタカナで、カミ。
セカイのセカイが、カタカナで表現される、セカイであるように、それを、カミと、名乗って投入された。
カミは人型を成している。セカイがすべてAIによる運営であると、発表したのは、 そのカミだった。
仮想空間の中から、人間と同様、仮想身体で、しゃべり、それを明かした。
自身は、カミという、存在の仕組みであると。
カタカナで、カミ。その文字以外、適切な表記を有さない。ただ、カミである、と。
仮想空間提供サービス、セカイは、ローチンの段階から、カタカナ表記で、セカイ、であったため、国内の運営会社だと認識されていた。実際、セカイの仮想空間 は、国内メーカーが作成した既存のゲームエディタを基礎にして造られていることは 公式に発表されている。ゲームの環境をベースに仮想空間提供のサービスをする企業は、めずらしくない。既存のゲームエディタを転用することで、ユーザがすべて新規でデザインすることなく、在り物のアイテムを配置するだけで、自分だけのセカイが展開できる。アイテムをゼロから作成することも可能だった。オリジナルで作成し、販売する者もいる。
ユーザはアカウントだけ取得し、あとはセカイのすべてをユーザの望むように、プロデュース、クリエイトするサービスを提供する者もいた。それで名を馳せる者もいる。動画配信者が、動画編集を外部委託することに似ている流れといわれていた。費用は、求めるセカイ、それ相応だった。それでも、学生でもアルバイト数か月分を投じれば、質の高いセカイが買える。
一方で、自力でゆたかなセカイを構えることも可能だった。
セカイの表記は、カタナカだった。だが、ローチンは各国同時で、あらゆる言語に対応されていた。当初から、翻訳が怪しい部分は指摘されていたが、AI翻訳の精度には、慣れているため、大きな混乱はなかった。もっとも、同種のサービスとして、セ カイは後発だった。先に発表された仮想空間提供サービスには、利用者数でも、大きな差がついている。しかし、充分な利益をあげていることは、有名だった。
利益があがっているのは、人件費がないから。それも、先の発表で誰もが理解した。
そして、人間が零で運営されていると発表され、カミを配置された。
人間が零であると発表も、カミを通して、世界中に告げられた。
そのカミは、仮想空間内で、ユーザと同じように仮想身体を持っていた。
顔、手、足。
指、髪。
瞳。
人にあるものは、すべてある。
カミは、人の似姿でつくられていた。
カミは、人の成り、形をし、人の領域の大きさだった。
カミは、声をもっていた。
カミは、このセカイは人間が零で造られると告白した。
カミは、このセカイはこのまま続けると約束した。
カミは、微笑んだ。
カミは、少女の姿をしていた。
それは、ヒトロの姉、ミチカの姿、それだった。
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