Ep.5 -スコアアタック、開始-
「あ…ああ、大丈夫だ」
「えっと、助けてくださりありがとうございます。…あの、名前はなんて言うんですか?」
…アバター名で良いよね?
「えっと、僕がケイで」
「私がミズだよ」
「…あ、えっと、私がシルヴァで、こっちがアドラスです」
「いやー、吃驚したぜ。アーミー・アサルトはあんなに群れるんだな。ともかく、助けてくれてありがとうな」
「いえ」
「その…つかぬ事をお聞きしますが、お二人は初心者ですか?」
「そうですね」
僕がそう言うと、アドラスさんが驚いた声を上げる。
「おいおい嘘だろ!初心者なのにあんな動きが…」
「アドラス、失礼ですよ」
別に初心者なのは事実だし、それに関して僕も渚もなんとも思ってないから良いんだけど。
「でも、確かにアドラスの言いたいことは分かります。e-sportsとかやっていたんですか?」
「いえ、リアルでもよく体を動かしていて…それこそ、アスリートとかには及ばないと思いますが」
「そうだとして、一体何喰ったらナイフで銃弾を弾けるようになるんだ?」
「…頑張ればできますよ」
「……あ、ついでですしフレンド登録もしておきましょうか」
「分かりました」
そう言って、僕と渚はシルヴァさんとアドラスさんとフレンド登録を済ませる。
「…お二人は、これからダンジョンに向かうんですか?」
「そうですね。一先ずそのためにレベルを上げている最中です」
「それでしたら、少ししたところにちょうどいいレベルアップ場があるんですよ。ついてきてください」
そう言って前を歩くシルヴァさんについていく。
「…そういや、ダンジョンって言いえば、もうちょっとでスコアアタックがあるな」
「スコアアタック?それって何ですか?」
「簡単に言うと、ダンジョン内で倒した敵の数がスコアになって、ソロから4人パーティの4つの部門で1位を決めるんですよ。あ、もちろんPvPもありですよ」
「お兄ちゃんが居れば、他のプレイヤーに負けることはないね」
「僕は少しケイさんとミズさんのコンビと戦ってみたい気持ちもありますけど、10回やって10回負けるが関の山でしょう。あ、着きましたよ」
そう言ってシルヴァさんが立ち止まる。視界の先には、アーミー・アサルトよりも二回りほど大きな人型の機械が立っていた。
モデルマンエリート・ソード。アーミー・アサルトの3倍近い体力だ。
「…なぎ…じゃなくてミズ、行くよ」
「うん!」
ショルダーバッグからナイフを取り出して、
トンッと地面を蹴ると、一瞬にしてエリート・ソードの目の前に到達する。
「―――くっ…!」
エリート、と書いているだけあって、UQMを使っても普通に反応してくる。
今一番のチートじゃないの?これ。エリート・ソードの剣と僕のベーシックナイフが鍔迫り合いを始める。
「お兄ちゃん!」
渚がフェルメティを発砲する。射出された弾丸は真っ直ぐにエリート・ソードへと向かう。
鍔迫り合いを止め、バックステップで銃弾を躱すエリート・ソードの懐に、UQMで加速した僕がナイフを突き刺す。まだ動く腕が僕に剣を振り下ろす瞬間、渚からナイフを投げ渡される。左手で受け取り、エリート・ソードの振り下ろした剣を受け止める。
「…その剣、もらうよ」
剣を弾き返して、剣を持っている手首を切る。エリート・ソードを蹴飛ばして、地面に突き刺さったエリート・ソードの剣を抜き、ダッシュでエリート・ソードに近付いて切り裂く。
「…ふう、これでおしまい」
砕け散ったエリート・ソードを見ながら、僕は呟く。
因みにシルヴァさんとアドラスさんは終始ぽかんと口を開けたままだった。
■
「…ここが、ダンジョンですか?」
「そうだよ。エレメンタリーダンジョン」
エレメンタリー、初級ダンジョン…。
「…さて、行くぞ」
「「「はい」」」
そうしてダンジョンの中に突入する。
ダンジョンの中には、初層、中層、下層、最深層の四つがあり、下に行けば行くほど敵は強く、経験値や手に入るアイテムと素材のレア度は上がる。
「…さて、もうちょっとでスコアアタックが始まるぞ」
「ミズ、準備は良い?」
「うん。もちろん」
広い空間に存在する障害物や柱、そして多数の敵。
最速でこのダンジョンをクリアすれば、僕らのスコアは大幅に加算される。
もちろん、ここにはソロから4人パーティの他プレイヤーもいる。スコアを競うのは同じ人数同士だけど、PvPは他の人数のパーティでも行われるから、基本的に4人パーティが多い。
『スコアアタック、スタート』
そんなアナウンスとともに、僕たちの視界に現在の順位が表示されている。
「さぁ、行くぞ!」
「はい!」
一先ず、僕と渚、シルヴァさんとアドラスさんのペアで行動。次の階層に行く地点で集合することになっている。
「…それじゃあ、行こうかミズ」
「うん。お兄ちゃん」
「それじゃあ、また次の階層で」
「またな、二人とも」
「はい、お気をつけて」
2人と分かれた後に、目の前にいるアーミー・アサルトを倒そうと、僕がナイフを片手に突撃する―――。
―――が、横から飛んできた弾丸によってそれは阻まれた。直後、僕の脇を横切る黒い影が、僕の右手を切り落としていた。
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作者's つぶやき:私こういう戦闘シーンって書くのそんなに上手くないと自負してるんですよね。表現が甘いところとかもあると思いますが、温かい目で見て頂けると幸いです。
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