Ep.3 -渚の装備を見繕おう-
「…ベーシックナイフ、強いなぁ」
初期装備のショルダーバッグから
破壊不可で、実体剣、魔法剣、どちらにも対応可能。
ダメージは
「ねね、お兄ちゃん」
「ん?どうした渚?」
「さっきさ、レベルアップって表示出なかった?」
「え?」
そう思って、メニューからポップアップの確認を選択する。
「…本当だ」
〖レベルアップ〗
【ケイ:Lv.1→Lv.4-Exp.30/50】
【ミズ:Lv.1→Lv.3-Exp.20/40】
画面にはそう表示される。
自分のレベルアップ表示に指を近付けると、詳細が表示された。
〖レベルアップ詳細:ケイ〗
ステータスポイント:2
ステータスポイントの振り分けができるみたい。
取り敢えず、今のところは攻撃と防御に振っておこう。
〖レベルアップ詳細:ケイ〗
ステータスポイント:0
こんな感じかな。振り直しもできるみたいだし、今は取り敢えずこれでいいや。
「お兄ちゃん、速く速く~!」
ステ振りをしていたら、いつの間にか少し先へ行っていた渚を追いかける。
少し遠くに見えていた、大きな城壁のような場所は、いつしか僕たちの目の前に。
門は開いていて、滞りなくイングリットの中に入ることができた。
門をくぐると、すぐに大通り。屋台が道の両端にズラリと並んでいる。防具、武器、アクセサリー、回復薬に、あとは普通に食料とか。
「あ、私ラムネ飲みたい!」
そう言って屋台の一つに駆け寄っていく渚。さっきのクエストを達成したから、金銭的に余裕もあるし、折角だし僕も飲もうっと。
「まいど~」
お金を払って、ラムネを2つ買って、片方を渚に渡す。
「はい、ミズ」
「ありがと、お兄ちゃん!」
僕の事はケイって呼ばないんだ。まあ、今更そう呼ばれても慣れないから別に良いけど。
「ん?お兄ちゃん、飲まないの?」
「え?…あぁ、うん」
「…もう、ここはバーチャルなんだから、リアルの事を引き摺っても意味ないでしょ?」
「…分かってるけど」
分かっているけど、分かっていても、無理なものは無理だ。
「…まあ、バーチャルなんだからさ。今だけ、私たちはケイとミズ。それで良いじゃん。ね?お兄ちゃん」
「…そうだね」
ラムネを開栓して、瓶を傾けてラムネを口の中に流し込む。
「…美味しい」
「でしょ?」
…なんで渚が誇らしげなんだろ。
■
僕らは今、武器屋に来ている。なんでかと言うと、渚の装備を見繕うためだ。
「お~…なんか分からないけど凄い…」
ライフルや拳銃、サブマシンガンに機関銃。ショーケースに並ぶ銃を興味津々に眺めている渚。
「ねえ、お兄ちゃん、私これが良い」
「ん?…
聞いたことが無い名前の拳銃だ。ゲームオリジナルの拳銃なのかな?
「すいません、これ試し打ちできますか?」
「はい、できますよ」
そう言って店員さんに連れられ、試射場に到着した。
パンッ!と言う銃声が、3秒間隔くらいに18回響く。
「どう?」
「…あんまり詳しいことは良く分からないけど…反動は少ない、かも?」
「そうなんだ。ちょっと貸してみて」
「うん」
渚からフェルメティを受け取り、リロードして照準してみる。引き金を引いて発砲してみる。
確かに、反動は少ない。それに、ブレも少ない。…ゲームだから、と言えばそれまでなのかも知れないけど。
「…じゃあ、これ買います」
「ありがとうございます。では、こちらに」
それからついでに、フェルメティのマガジンを10個ほど買っておいた。今フェルメティに入っている弾薬を含めると、おおよそ198発撃てる計算になる。
「えへへ、ありがとうお兄ちゃん♡」
拳銃片手に微笑む渚…まあ、バーチャルだから問題は無いんだろうけど…なんだかなあ…。
「…あ、そうだミズ」
「どうしたのお兄ちゃん?」
「折角だし、訓練してみない?」
「訓練?」
そう言うわけで、イングリットを出てすぐにある平原に到着した。
「実戦訓練?」
「そうそう。僕は逃げ回るから、渚は2マガジンで僕に3発弾を当ててみて」
「…お兄ちゃんを傷つけるのは嫌、だよ…?」
潤んだ眼で僕にそう言う渚。…じゃあ、どうしようか。
そんな事を考えていると、草を掻き分ける音と、モーターが駆動する時特有の独特な機械音が背後から聞こえる。
ベーシックナイフを逆手に構え、後ろを振り向く。視界に人型の機械が映る。
モデルマンアーミー・アサルト。その人型の機械の上に、体力バーとともにそう表示されている。
「…お兄ちゃん、私のナイフ、使う?」
「いや、ミズが使って。ナイフと拳銃のコンボでやってみて」
渚の練習に付き合ってもらおう。
「いくよ、お兄ちゃん!」
――――――――
作者's つぶやき:…まあ、どちらが圧勝するかはお察しだと思いますが…。あ、渚さんと彼方くんの戦闘方法を軽く紹介しておきましょうか。
渚さんはナイフを防御で攻撃を拳銃として使うことが多いですね。
彼方くんは…まぁ、はい。ナイフしかないので、拳銃を打てば直撃コースの弾だけを的確に弾いて真っ直ぐ向かってきますし、魔法を放てばマナブレードでこれまた弾かれるので、目を着けられたらご愁傷様…って感じですね。
――――――――
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