第10話 1993年

【1】事件・世相


・「山形マット死事件」

・「矢ガモ」事件

・曙が外国人力士として初めて横綱に昇進

・Jリーグ開幕

・ マイクロソフトがWindows 3.1日本語版を発売

・内閣不信任案が可決し、衆議院解散(嘘つき解散、政治改革解散)

・横浜ランドマークタワーが開業

・非自民・非共産連立政権である細川内閣が発足、55年体制の崩壊

・「悪魔ちゃん命名騒動」

・レインボーブリッジが開通。

・ 角川書店の角川春樹社長が麻薬取締法違反の容疑で逮捕

・「ドーハの悲劇」

・森安九段刺殺事件

・ナタ・デ・ココブーム

・差別的表現の指摘に端を発する、業界の姿勢や嫌がらせの電話に抗議して筒井康隆 『断筆宣言』。


新語・流行語大賞

 年間大賞 - Jリーグ

 新語部門 - 金賞:サポーター、銀賞:「新・○○」、銅賞:FA(フリーエージェント)

 流行語部門 - 金賞:規制緩和、銀賞:清貧、銅賞:天の声

 大衆語部門 - 金賞:親分、銀賞:「聞いてないよォ」、銅賞:お立ち台

 表現部門 - 金賞:2500円スーツ、銀賞:ウゴウゴルーガ、銅賞:たま・ひよ

 特別賞部門 - 「悪妻は夫をのばす」



【2】この年のラノベ第1巻


ライトノベル雑誌『ザ・スニーカー』創刊(1993年4月5日 - 2011年2月28日)

1993年6月、「電撃文庫」が旧メディアワークスより創刊

『漂流伝説 クリスタニア 1』(水野良)

『聖マリア修道院の怪談 極道くん漫遊記外伝』(中村うさぎ)

『ダーク・ウィザード 蘇りし闇の魔道士』(寺田憲史)

『瑠璃丸伝 当世のしのび草紙 1』(松枝蔵人)


『大久保町シリーズ』「大久保町の決闘」

電撃文庫

(1993年12月 -)全3巻

著者 田中哲弥

イラスト此路あゆみ



【3】ラノベ以外の作品・話題作


アニメ

『機動戦士Vガンダム』(1993年4月2日 - 1994年3月25日)

アニメ『忍たま乱太郎』放送開始

海外ドラマ

 『X-ファイル』(1993年9月10日 -)

洋画

 『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』

 『沈黙の戦艦』

 『逃亡者』

 『ジュラシック・パーク』

アーケードゲーム

 『サムライスピリッツ』(SAMURAI SPIRITS、侍魂) SNK

非電源系ゲーム

1993年8月『マジック:ザ・ギャザリング』(Magic: The Gathering)発売

 世界初のトレーディングカードゲーム

TRPG

ゲーム制作会社『ファーイースト・アミューズメント・リサーチ』

(F.E.A.R.)設立

声優業界

 ラジオ番組『國府田マリ子のGAME MUSEUM』(1993年10月 - 2004年10月)

ヒット曲

 CHAGE&ASKA「YAH YAH YAH」

  サザンオールスターズ「エロティカ・セブン」

 B'z「愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない」


【4】映像化


『無責任艦長タイラー』(1993年1月から7月)テレビ東京系列


(2)一言


『ザ・スニーカー』が創刊。

創刊号の表紙はガルディーン。ディードリットでないのが意外です。

火浦功先生の存在についてはこの表紙で知りました。


「電撃文庫」創刊

前年、角川歴彦氏が角川から追放された。歴彦氏は『ザテレビジョン』や『東京ウォーカー』などの雑誌部門を担当し、収益を上げていた。歴彦氏は同時に角川書店の子会社・角川メディアオフィスの社長も兼務し、同社は『コンプティーク』『マル勝スーパーファミコン』『コミックコンプ』などゲーム雑誌・漫画雑誌を出版していた。角川メディアオフィスの役員がほぼ全員退社。彼らが立ち上げた会社がメディアワークスである。

メディアワークスは『電撃』を誌名に冠した雑誌5誌(『電撃スーパーファミコン』・『電撃PCエンジン』・『月刊電撃コミックGAO!』・『電撃王』・『電撃メガドライブ』)を一斉に創刊。当初からマルチメディアを視野に入れた戦略性を持った企業であった。

こうしてゲームや漫画、アニメのマルチメディア展開で角川の強力なライバルになると見られたメディアワークスであったが、なんと角川社長の春樹が麻薬取締法違反で逮捕され、歴彦氏が角川の社長に迎え入れられたことで、なんだかよく分からないことになってしまった。

 当初は異色のラインアップから主流とはならなかった電撃文庫であるが、やがてヒット作を連発、電撃文庫は、ラノベ界の王者として君臨するようになる。


『大久保町シリーズ』

当時、大久保町在住であった私自身には訳が分からなかった。

近所の本屋(がんしょう堂)が大久保町テーマにラノベを発刊するというローカルな出来事だと思ったからだ。みんなの街をテーマにライトノベルを書こう!とかそういうことではなかったようだ。

「大久保町の決闘」とのタイトルは「OK牧場の決闘」が元ネタである。


筒井康隆 『断筆宣言』。

 筒井康隆は差別的表現を指摘した団体に抗議したわけではないことは理解しておこう。抗議の対象は嫌がらせの電話をした一部の『市民』たちであり、事なかれ主義に陥った業界の姿勢に対してである。

 表現の自由を守るため、我々は戦わなければならないのである。


『機動戦士Vガンダム』始まる。世紀の怪作である。

SDガンダムブームもいったん落ち着いていた(SDキャラのご先祖「ビックリマン 悪魔VS天使シール」も1992年の31弾で終了、「スーパービックリマン」も10弾で終了している)。

『機動戦士Vガンダム』に始まる「平成ガンダム」、「マクロス7」そして「エヴァンゲリオン」、さらにポスト「エヴァ」である「ナデシコ」「ブレンパワード」と続く、あらたなリアル系ロボットの時代が到来する。


『マジック:ザ・ギャザリング』(Magic: The Gathering)

世界初のトレーディングカードゲーム、MTG。

発売直後から爆発的に広まる。日本ではTRPGコミュニティを中心に広まり、それがこの後に訪れるTRPG冬の時代の遠因となったという見解もある。

『コンプRPG』にもMTGの紹介記事があり、私もその記事でMTGを知ったのだった。


 ラジオ番組『國府田マリ子のGAME MUSEUM』

いわゆる最初のアイドル声優が誕生。國府田マリ子と椎名へきるがなんとなくそう思われていた(個人的見解)。國府田マリ子は『きんぎょ注意報!』の朱子役、『GS美神』のおキヌちゃん、『ママレード・ボーイ』のヒロインの小石川光希役で有名。


ライトノベルの映像化

『無責任艦長タイラー』がアニメ化。ラノベ原作のアニメ化としては極めて早い時期の作品。事情は知らない。

放送時間は月曜 18:00 - 18:30。原作ファンには不満が多かったとも聞く作品。

一方アニメから入るファンも多かった。


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ライトノベル40年史 影咲シオリ @shiwori_world_end

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