第24話 オールレビュー⑥

 鳥辺野九「夏至の魔王は第一宇宙速度で」https://kakuyomu.jp/works/16818093081892964653


 魔王から勇者が手にしたのは高高度世界、世界の上半分だった。少年はその上半分を目指していた。彼はイベントで第四魔王に出会うが――――。引用「 夏至の日、太陽は少年の真上にあった。少年は太陽を仰ぎ見て計算した。




「一万二千メートルってとこかな」




「あれで一万二千か。俺が目指すのは二万五千だ」




「ジャンプ魔法でなら入道雲のてっぺんまでは跳べるかも」




「さすがの第四魔王もチート抜きじゃそれが限界だな」」VRMMO空間の物理エンジン上で高高度世界を取り戻す力を得る魔王のお話と来て、物理学に則った正統派のSFと取りました。一方で確かな描写と台詞だけ追っても内容がある程度掴めるリーダビリティは素晴らしいです。内容に踏み込んでもいいなら、もっとスぺオペや舞台を変えてSFらしいものに寄せる方がいいなどと思われましたが、そこまで言わせるのは作品の力だと思います。


 鳥辺野九「銀冠の粘菌術士」https://kakuyomu.jp/works/16818093082472781919


 新種粘菌によって陣取りゲームが行われている世界。引用「釧路湿原で違法に増築されたメガソーラー施設の撤去工事中に、地中から新種の粘菌が発見された。


 約25平方キロメートルにおよぶ巨大コロニーを形成していた新種粘菌は『クシロスライム』と命名された。」SFアイデアは一段抜けていたと思います。このアイデア自体成長すると思うので大事にしてください。イーガンの短編「ルミナス」のような感触もあり、地味なんだけどすごいことが起こっている、そういうSFだと思いました。

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