第7話 ブックガイド③「空想自然科学入門」

 三回目はアイザック・アシモフ「空想自然科学入門」です。SFを志していなくてもその名前くらいは知っていそうなアシモフのエッセイになります。アシモフといえば「われはロボット」「鋼鉄都市」「銀河帝国興亡史」などで有名なSF作家です。彼は科学者としても有能だったので、科学的な蘊蓄うんちくに関しては特に秀でていました。


 このエッセイでは複雑に入り組んだ現代科学を果樹園と捉え、その様子が高いところから眺めて見たときどのような様子になっているかを概観していく内容になっています。SFファンが喜びそうな内容が多く、それは彼なりのリップサービスなのかもしれませんが、饒舌で洒落た文体で、現代科学(といっても数十年以上前ですが)をユニークに語るわけです。

 内容は生物学、化学、物理学、天文学でボリュームはシンプルな印象を受けます。

 ですが、物理学の地平に天文学など、思わぬつながりを見出したりできる面白さがあります。


 またその科学から読み解かれた彼なりのSFビジョンは驚きに溢れ、これがSFかと膝を打つシーンも珍しくありません。

 ややSFとしてはオールドですが、今も古びないSFと科学の入門書です。

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