第4話 公募を受ける

 デビューを狙うにも、なんらかの公募によってデビューするというのが浮かぶでしょう。書籍化でデビューした人が少なくない時代ですが、いまでも出版界で生き抜くためにはある程度の格式のあるコンテストや公募からデビューしたほうが有利であると言われています。こういう公募の偏差値を踏まえておくと、デビュー後に苦労しないとプロの先生が言っています。


 ここでいう公募の偏差値というのは公募の難しさというより、その公募を受けるひとの技術レベルが高いかどうかを指します。なので相対的な物差しと言えます。ですからネット小説のコンテストは受ける人が滅茶苦茶多いですから、公募の偏差値という目線で言えばそこまで高いわけではないです。

 べつの創作論で話していることですが、電撃小説大賞がなぜ特別視されているかと言えば、その公募の偏差値が高いなかで厳選された作品だからともいえそうです。

 ではたとえばどんな賞が公募の偏差値が高いのかといえば、江戸川乱歩賞などが筆頭に挙げられます。そのほかには小説現代長編新人賞でしょうか。


 ただこうした公募の偏差値がそれほど高いわけではない賞を狙ってデビューしてその後大活躍という作家もいます。小川哲がそうです。第三回ハヤカワSFコンテストで大賞を受賞後、「ゲームの王国」で山本周五郎賞、「地図と拳」で直木賞を受賞しました。ハヤカワSFコンテストがそれほど公募の偏差値が高くないとしたのは、一般文芸という沃野よくやから見ればという意味です。ハヤカワSFコンテストはある意味特殊なコンテストです。ジャンルをSFに限定していますし、一般文芸から見れば、アイデア勝負なところもあります。


 脱線しましたが、公募の偏差値で言えば、SFの短編コンテストのレベルは毎年上昇傾向にあると思います。なにより何かしら抜けている人の層が厚い印象を受けますし、参加するだけでレベルアップとはいいませんが、どういう作品が評価されるのかを探るにはいい場所だと思います。

 いま大きく評価される小説を書こうとすれば、キャラクター小説のようなある意味メディアミックスされるものではひとつ以上抜けることは出来ないと思います。それだけ競争者が多いです。レッドオーシャンだと言えます。こうした競争から逃れる術や嗅覚も公募を受ける人間は持っておいたほうがいいでしょう。


 公募を受けるにもそこに参加する人にクローズアップすればそこに何かしらのヒントが転がっているかもしれません。

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