第3話 コミュニティに入る

 SFの世界というものは、さきほど申し上げた通りファンダムというものが存在します。これは謂わばSF好きの集まる空間です。大学のSF研究会でもいいですが、そういう場所に集まるというのもSFに強くなる方法です。

 私は大学時代SF研には入りませんでしたが、TwitterのコミュニティでカクヨムSF研というコミュニティを運営しています。人が集う場所に積極的に出入りすると、SFの情報に強くなります。ふだんの読書に加えてなんとなくの気分でいいので場へと乗り込んでみる、そうすることで同好の士の知り合いが増えます。


 ほかにはSF系のウェブマガジンに参加するという方法もあります。SFウェブマガジン、アニマ・ソラリスではいつでも短編の原稿を募集しています。そこで経験を積むのもいいと思います。雑誌に載るということならSFウェブマガジン、バゴプラの公募に参加するのも手段と言えます。不定期にですがバゴプラでは短編の公募があり、そこに集う人をXでフォローしておくと空間に入った気になれます。両方で言えるのは雑誌に掲載されるという経験が後々活きてくるということです。


 SFの世界というものは普通のコミュニティ活動とそれほど違いはありません。全国規模という点では確かに大きいかもしれませんが、実態は小さな組織の集まりです。なのでいつでも参加者募集の空間でもあります。なので気軽にSFイベントに行ってみるのもいいと思います。最近では文学フリマでもSFサークルの参加が多いので文学フリマのついでにSF同人誌を買うことで参加できます。もちろん、買っただけではSFファンになれるわけではありませんが、Xで感想を発信すると見てくれる人はいるということでしょうか。なので恐れずに勇気を出して参加してみましょう。


 もっと中級、上級者ならどうでしょうか。たとえば菅浩江先生の講座「菅浩江のネコ乱入! ~創作講座と雑学などなど」という配信プラットフォーム、シラスの番組があります。番組を購読するとオンラインで菅先生とやりとりしながら創作を学べます。SFを勉強したい人は必見だと思います。またゲンロンが主催するゲンロンSF創作講座。これも受講料はかかりますが、効率的にSF作家になりたいのであればぜひ参加するのがいいと思います。

 参加を考えているひとはどうでしょうか。たとえば受講生がやっているラジオやポッドキャスト番組でなかの様子を探れます。ダールグレンラジオを筆頭に様々な番組があります。受講生をXでフォローするだけでも情報の密度は上がり、勉強ができる下地がつきます。


 創作者が創作の話をできる空間がSFコミュニティには古くは星群祭しかありませんでした。サーコンと呼ばれる空間でほかには近年ではSFセミナーや京フェスがあります。

 ただカクヨムやX、文学フリマなど創作者にとって実りの多い季節が今なので、SF創作者のグループに入ってそこで創作の話をするのが良いと思います。

 SNSたとえばXのSF好きをフォローした時代もありました。そこで色々な経験をさせてもらいながら、SFという世界に没入していくのが緩やかにSFの世界に浸れるコツですね。覚えているのはNHKのラジオや100分de名著でSFが取り上げられた際にSNSのフォロワーとリアタイをしたり、Xのスペース機能でしゃべったりした思い出です。カクヨムを介してXを交えた自主企画を運営したこともいい経験でした。


 またpixivが運営している「日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト」と言ったコンテストにもSF好きが集まります。コンテストに参加することで同好の士が増える効果もありますし、参加してみましょう。

 ほかにも星新一賞、創元SF短編賞、ハヤカワSFコンテストといったコンテストの参加者の集まる場所にも目をつけてみるといいと思います。思いがけない出会いがありますよ。

 SFのファンダムに直接所属しなくても年間でコンテストに参加する計画を立てておくと面白い展開になります。たとえば五月から六月上旬までが日本SF作家クラブの小さな小説コンテスト、六月下旬から九月のはじめまでが星新一賞、年間を通して創元SF短編賞、ハヤカワSFコンテストといった公募の大枠をとりあえず押さえておくのです。どのコンテストに向かっていても、資料を集めたり、思索に耽ったりすると思うのですが、同時にSNSを活用や講座を活用していい作品を目指してみるのが適度な緊張感を持ちながら持続的に戦うコツだと思います。


 いろいろと書き並べて参りましたが、いまは創作者にとって良い時代です。SNSで情報が集まりやすいし、好きな分野であれば入れる空間がたくさんあります。ピーティックスといったオンライン講習でもSF系の講習がありますし、そこで見聞を広げるのもおすすめします。SNSでアンテナを立てておけば情報が自然と集まる、そういうインフラ作りを意識して取り組めばよい巡り合わせに恵まれます。


 

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