第7話 猫好きは猫(?)を撫でる

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作) やっと撫でるよ!

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……私、猫見 奏多ねこみ かなたは、夏になりかけの、ほんのりと暖かい春の風で目を覚ました。



「…ここは……?」



寝起きの微睡んだ頭のまま辺りを見下ろして、自分が今いる場所が路地裏だと気付いた。

…私は、どうやらこんな路地裏で眠ってしまっていたようだ。


だんだん覚めていく頭で、少しづつ記憶を思い出していき…



「…やっぱり…夢だよね…猫耳生やした白尾さんなんている訳…」



我ながら変な夢見たなぁ…なんて考えていた猫見の思考は



「…夢じゃ…ありませんよ?」



突然、背後で響いた声で、完全に目覚めた。


そこで初めて、今自分の頭の下にある暖かい感触が、自分のクラスメイトである白尾 咲希しらお さきの膝枕だと気付いた。



眠りから覚めたら、一度も話したことのないはずの…何故か猫耳を生やしたクラスメイトに膝枕をされている事を想像して欲しい…。



「…わぁぁっ?!?!」



…こうなるのも仕方ない。



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…やっと落ち着いた奏多は、眠っていた自分に何故か膝枕をしていた張本人である、白尾さんから様々な話を聞いていた。



「つまり…白尾さんの家族は、みんな猫みたいな特徴を持ってて、白尾さんもその中の1人である…と?」


「…コクッ」



「…ふむ……よし、理解した!」


「えっ…信じて…くれるの…?」


「信じるも何も…」



白尾さんは、驚いたような顔を私に向けてきた。


確かに、普通の人なら簡単には信じられないような話だとは思う。でも、目の前に実際に猫耳を生やした存在がいるし、信じるしかないよね。

(なんなら、さっきから猫耳がピョコピョコ動いてるし…ほんっと可愛い。)



「…それよりも…ホントに撫でてほしいの?」


「っ…!」コクコク!!



そう奏多が聞くと、白尾さんは嬉しそうな顔で顔を縦に何度も揺らして尻尾を小刻みにプルプルと震わせた。



「でも、私って白尾さんとの接点ないと思うんだけど…なんで私…?」



ふと思いついた質問をしてみると、白尾さんはその綺麗な顔を少しづつ赤く染めて…



「私…ね…猫見さんが教室で美優さんのこと撫でてるの見て…良いなぁ…って思ってて…」


(……何この子、可愛すぎる)

「……何この子、可愛すぎる」


「えっ?」


「あっ、いやなんでもないよ」



(やっば、また口に出てた…美少女が恥ずかしがりながら「撫でられてるの良いなぁと思ってて…」とか、もはや凶器だよこれ。)



「…私…普通の人が苦手で…周りの人を避けてきたから、猫見さんにも中々話しかけられなくて…」


「…ん…?あれ、普通の人が苦手なら、私も近づかない方が良いんじゃないの…?離れた方がいい?」



普通の人が苦手らしい白尾さんに気を遣って少し距離をとろうとすると、



「ね…猫見さんは、特別なの…」



白尾さんは涙目で、私の服の袖を握って私を引き止めながら上目遣いを向けてきた。


(だからその上目遣いは反則なんだってぇぇぇ!猫耳ぺたんってしてるし!)



「…だから、私のこと…撫でて…?」


「…は…はい!撫でさせていただきます!」


「…うん…それじゃ…お願い…」スッ…


「じゃあ…な…なでるよ…?」



心を落ち着かせる為に少し深呼吸をしてから…撫でやすいようにか、少し頭を下げてくれている白尾さんの頭に、ゆっくりと手を伸ばして…


そこに生えている白い猫耳に…触れた。

…モフッ



「…にゃぅ」ピク


「っ!!!」



(な…なにこの手触り…ツヤツヤした髪は指通しが良くて、指を通すとスーッて抜けていくぐらいサラサラなのに…ピンッと立った白い猫耳の近くは、髪とは違って…もふもふと、柔らかい本物の猫みたいな毛並みになってて…)



「これは…止まらないね…!」なでなで…!もふもふっ…!


「んにゃっ?!///」


「………!!」なでなでなで…!!もふもふもふもふ…!!


「にゃぁっ…///…ちょ…ちょっと猫見さ…ん…もう少し優しく…にゃ?!」


「………………!!!」なでなでなでなで…!!!もふもふもふもふ…!!!


「んにゃぁ…////」…ヘナヘナ



あまりにも魅力的すぎるモフモフな猫耳と、猫ロスによる衝動で堪らず撫で続けていると、白尾さんは脱力してヘナヘナと地面にへたり込んだ。その時、ふと奏多の頭に1つの思いつきが浮上した。



「…猫って、喉を撫でると気持ち良さそうにするよね…」


「…っ?!」ビクッ


「確か…こうやって…」



そう言いながら、白尾さんの、色白で細い首筋に手を伸ばす…あと少しで触れられる…その瞬間



「…そ…それはまだダメーっ!?!?」バッ



白尾さんは、地面に落ちた帽子をサッと拾って、一目散に路地裏の奥に消えていった。


私は、凄い速度で離れていく白尾さんを呆然と見つめながら…



「もふもふ…だったなぁ…」



先程まで触れていた、白尾さんのモフモフの猫耳とサラサラの髪を思い出しながら、「また撫でれるかな…」と、訪れるかもわからない次の機会に思いを馳せていた。





──<〜その後の白尾姉妹〜>──



「お姉ちゃん、やっと猫見さんに頭撫でてもらえたよ!」


「あら、良かったじゃない、散歩に行ったら友達を作ってくるなんて。さすが私の妹ね」


「え?」


「…ん?」


「…とも…だち…?」


「だって…撫でてくれたんでしょ?それだけ仲良くなれたって事じゃないの?」


「散歩中に猫見さんに会って…」


「うんうん」


「猫耳を見られて、咄嗟に撫でてほしいって頼んで…」


「うん…?」


「撫でられてる最中に…逃げてきちゃった…」


「oh......」




✂︎- - - - - - - -キリトリ- - - - - - - - - - -

もしも読んでくれた人がいるなら…


初心者の初執筆なので、言葉の違和感や誤字などがあるかもしれません…もし見つければ遠慮なく指摘していただけると助かります!


リアル事情&初執筆で更新頻度も不定期ですが、できる限り頑張ります


[作者コメント]

やっと撫でてもらえたよ白尾ちゃん!急に撫でられすぎて驚いちゃったみたいだけど、お家に帰ってすぐにお姉ちゃんに報告するほど嬉しかったみたい!

ちなみに、猫が尻尾を小刻みに震わせる時はご機嫌な証拠で、ピンっと立った耳は緊張してるって事らしいよ。

猫飼ってないから頑張って調べて書いてます。


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昨日の深夜に「私の彼女は素直になれない天邪鬼あまのじゃく」ってタイトルの1話完結の短編小説も投稿したので、もし良ければ読んでくれると嬉しいです。

素直になれない女の子と、その彼女の同棲百合カップルです。(好評なら続き書くかも?)

https://kakuyomu.jp/works/16818093079250823757

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