第2話

翌日

 美代子とゆうきは由紀子の病室にいた。それは昨日にさかのぼる。由紀子の病室を離れた後やはり由紀子のことが心配だったからである。2人は次の日の朝様子見に行くことを決めていた。

「由紀子さん。美代子です。今よろしいでしょうか?」

「どうぞ」

断られなかったことに一安心し2人は病室に入った。

「どうかされたんですか?」

「いえ、昨日のことを受けて辛い思いをされていないか心配で来たんです。回診の前に私たちが話し相手になりますよ?」

「まあ、お気遣いありがとうございます。それではよろしくお願いしますね。敬語ではなくて大丈夫です」

「よろしくね」

「こちらこそよろしくね」

 こうして3人は友達になったのであった。話がひと段落したころに由紀子の家族がやってきた。その中には昨日会った母親がいた。その隣には見覚えがない人がいて誰だろうと思っていた。そんな美代子たちの思いが通じたのか隣にいた男性が話してきた。

「お二方、昨日はありがとうございました。由紀子の父の阿部人志です。どうぞ由紀子のことよろしくお願いします」

「「いえいえい。ことらこそ由紀子さんには良くしてもらっています」」

挨拶が済みひと段落したころに医師の回診の時間になった。医師の回診が無事終わったころに美代子の勤務時間が迫ってきてることもあり解散となった。

 そんなこんなで3カ月がたったある日。由紀子の部屋はざわついていた。何があるのだろうか。それは、ついに外泊許可が下りたのであった。痛みが引いたため昨日の検査で主治医から外泊許可が下りた。もちろんまだ美代子たちには連絡入れていない。美代子たちを家に招待して今までのお礼を兼ねているからだ。そんなこんなで病院を出る時間になった。

もちろん美代子たちが病室に来る前だ。何も伝えてないことに罪悪感はあったが出発した。

(ごめんなさい。美代子さん、ゆうきさん。何も言わずに出て行って。また後で連絡します)


 ──そのころの病院では。

「あら大変。美代子、由紀子さんが置手紙老いていなくなってるわ」

「どれどれ。まあ、外泊してるそうよ。ついに家に帰れたのね。でも寂しくなるわね。数日とはいえ会えなくなるのは。これで関係も・・・」

「そんなバカなことを言わないで。きっと由紀子さんは連絡してくれるわ」


 2人がこのようなやり取りをしていると由紀子は予想していた。外泊初日の夜に由紀子は二人に連絡を送ったのであった。

 

 「由紀子です。

 急に黙って外泊してごめんなさい。

 実は二人を家に招待したいです。

 泊りがけで来てください」


メールで二人に送るとすぐに返信が来た。返事は勿論とのことだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

余命宣告から始まる物語 ビル @marrs

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る