第18話 キラキラさん
皆さんはキラキラさんという怪異をご存じでしょうか? ヒサルキと関係があるのではないかとも語られるこの怪異。ヒサルキについては、またの機会に喋りたいと思います。今回はキラキラさんについて話してみましょう。
キラキラさんは幼い子どもたちにだけ見える存在のようです。それは空に居て、大人には見えないのだと思います。そう説明すると、なんだか幻想的といいますかファンシーなもののようにも思えますが、不気味な怪異です。
キラキラさんが登場する元の話だと、語り手が勤める幼稚園が舞台だったと記憶しています。そこでは小さな動物が殺される事件が続いていて、子どもたちはそろって「キラキラさんがやった」と言います。それだけでも不気味なのですが、子どもたちにキラキラさんのことを訪ねると皆が両手で両目を覆って「知らない」としか答えません。
ある日、一人の子どもが空を見つめて「キラキラさんだ」と言いました。語り手が空を見つめても何の異常もありません。空を見つめていた子どもに、さっき見つめていたものについて聞くと、やっぱり両手で両目を覆って「知らない」と答えるのです。子どもたちだけの遊びなんじゃないかと考えても、かなり気味の悪い話ではないでしょうか。
語り手は子どもの両手を両目から離し、キラキラさんについて教えてほしいと頼みます。すると、子どもは両手の人差し指を突き出して、語り手の両目を潰そうとしてきます。いきなりのことでした。幸い、語り手は子どもの指をかわすことができました。が、その直後です。子どもが自分の両目に、自らの指を突き刺しました。子どもの目には後遺症が残り、キラキラさんが何だったのかも分かりません。なんとも、後味の悪い話です。
自分の知らないものを相手は知っている。けれど、相手はそれについて教えてくれない。なんとも、もどかしい気分にさせられます。そんな意地の悪いことをしないでくれよと、言いたくもなりますね。でも、この話では相手に教えてくれと言いすぎてはいけなかったのです。結果として、語り手が知りたいことを知ることはできず、子どもに後遺症を残す。ということにしかなりませんでした。子どもが傷つく話と言うのは辛いっすね。悲劇というものは大抵辛いものですけど、こういう話は特に嫌だと思います。
怪異というものは、ものによっては知ることが、もしくは知ろうとすることが、なにか悪いことが起こるトリガーになります。キラキラさんは、大人に正体を知られたくないのでしょう。だから、子どもたちが両目を隠して「知らない」と言うのは、これ異常秘密に近づくなという警告なのでしょう。
僕は、そう思います。
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