第8話 八尺様
今回でこのエッセイも八回目、というわけで『八尺様』について語ってみようと思います。
八尺様はインターネットの某掲示板から知られるようになりました。八尺という名前の通り、二メートル四十センチもある長身の女性型怪異で、きっと目の前に立たれると萎縮してしまうでしょう。僕ならチビりますね。
さて、近年ではショタを襲うエチエチなお姉さんになってしまった八尺様ですが、元々はちゃんと怖い話です。少なくとも、僕には怖かった。
八尺様はとある村に古くから伝わっているそうです。語り手が子ども時代、八尺様に目をつけられた話が掲示板では語られます。怪異に目をつけられるのは嫌ですね。相手が八尺様だとしても、捕まればきっと、ろくなことになりません。
八尺様に目をつけられた語り手は、八尺様から隠れるように一晩を閉じきった場所で過ごすことになるのですが、ここで八尺様は語り手のよく知る人物の声を真似て、そとに誘い出そうとします。狡猾で恐ろしいです。扉の外から声を真似る怪異の話はよく耳にしますが、実際にそのような怪異と遭遇した場合、僕は騙される自信がありますよ。
語り手はなんとか一晩を乗りきり、翌朝には車で村を離れることになります。その時、車の外を見ないように釘を刺されるのですが、語り手はつい外を見てしまいます。そして、車に並走する八尺様の姿を見てしまうのでした。きっと衝撃的な場面だったでしょうね。その光景を想像すると見てみたくもあり、やっぱり怖くもあります。
このお話はもう少し続きます。とても怖くて嫌なラストですから、知らない方は話を調べてみることを、おすすめします。怖いですけど、面白いですよ。
八尺様に限らず、長身の知らない相手というものは恐ろしく感じられます。海外で語られるスレンダーマンという怪異なども怖いです。それに、日常ですれ違った高身長の方にも、一瞬警戒をしてしまったり、そういう経験は皆さんはなかったでしょうか。
自分より大きな存在、というものには根源的な恐怖が感じられるのではないでしょうか。幼いころに見る大人という存在は、頼もしく感じられることもあれば、逆に恐怖を感じることもあります。僕は、その恐怖は大人になってだいぶ薄まったように感じますが、たぶん幼いころは知らない大人には割と何度も恐怖を感じることがあったような気がします。
八尺様という怪異は子どもから見た大人という、恐ろしくも感じられた存在を、より強調したもの、なのかもしれません。
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