第6話 きさらぎ駅

 2004年。


 某掲示板にてその駅の存在が語られました。


 今回は『きさらぎ駅』について語っていこうと思います。


 掲示板でとある投稿者が迷い込んでしまったと言う異界の駅。それが、きさらぎ駅であります。この場所へ行く方法ははっきりとしておらず、電車に乗っているうちに偶然迷い込んだと言われます。


 駅に人の姿はなく、ただ駅の名前だけが分かる。しかし、その駅を知る者は居ない。実際に遭遇したら興味よりも恐ろしさが勝るかもしれません。


 投稿者は、いつまでも電車が来ない駅を出て線路にそって歩いて帰ろうとするのですが、その道中で奇妙なことが起こります。


 遠くから楽器の音が迫ってきたり、片足の老人に呼び止められたり、そんな奇妙なことがあって恐いことがありながらも、投稿者は親切なドライバーを見つけます。


 投稿者はドライバーの車に乗り、そうして無事に帰れるかと思われたのですが、どうもドライバーの様子がおかしい。なんとか逃げる方法を考えたいという書き込みを最後にきさらぎ駅の話は終わります。なんだか後味の悪い終わりかたで、それが話にリアルな印象を与えています。


 この頃ネットでは、きさらぎ駅を初め多くの異界駅についての書き込みがみられます。やみ駅ですとか、かたす駅ですとか、他にもいくつものバリエーション豊かな駅の話が掲示板に投稿されました。


 乗り物に乗っているうちに知らないどこかへ到着してしまう。ということは多くの人が妄想してみたことではないでしょうか。人というものは自分の知らない世界、知らないどこかに興味を持ちやすいのでしょう。もちろん個人差はあるでしょうが。


 見知らぬ土地の旅をする。こういう話は昔から語られます。その旅が、旅人の望んだものであれ、望まなかったものであれ、その話は一つの物語となります。


 どこまでも線路が続く田舎の風景、超巨大な建築が立ち並ぶ奇妙な都市。他にも多くバリエーションはありつつ、奇妙なロケーションが多い異界駅。


 間違いなく見知らぬ土地であり現実とは違うどこか。その場所は本当に存在するのでしょうか。


 異界へ行く方法は色々と語られています。井戸を通ったり、洞窟を抜けたり、近年ネットで語られる中にはエレベーターで特別な操作をすることによって、異界への入り口が現れるなんて紹介されることもあります。


 人々が思いを寄せる遠いどこかへの入り口はもしかすると、あなたの住む町、あなたが居る場所の近くに存在するのかもしれません。

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