第4話 九相図

 今回は『九相図』について語ってみたいと思います。


 九相図とは野に打ち捨てられた人間が朽ちていく様子を九段階に分けて描いた絵です。画像検索すると結構ショッキングなものが出てきますので、もし調べてみようという方は充分に注意してください。


 また、今回の話はだいぶグロいです。グロ注意!


 では、九相図について一段階づつ解説していきましょう。それぞれの段階の名前は漢字が難しいのでカタカタを使って紹介させてください。


 まずはチョウソウ。

 これは死体が腐敗しガスにより膨張した状態。


 次にエソウ。

 これは死体の腐敗が進んできた状態。


 次にケチズソウ。

 これは死体の腐敗が進み、損壊して脂肪や血液が染み出てくる状態。


 次にノウランソウ。

 これは死体の腐敗がさらに進み、溶けてきだした状態。


 次にショウオソウ。

 これは死体が青黒く変色した状態。


 次にタンソウ。

 これは死体に虫がわいて、動物に食い荒らされた状態。


 次にサンソウ。

 これまでのことから死体がバラバラに散らばった状態。


 次にコツソウ。

 これは死体が骨だけになった状態。


 最後にショウソウ。

 これは骨が焼かれ灰になった状態。


 以上の九段階を描くことで九相図となり、これに生前の人間の姿を加えることもあるようです。


 人の死体がどうなるか段階的に描いていく。こう聞くと悪趣味この上ないようにも聞こえそうです。そんなものがどうして作られたのかというと、どうも仏教が関わっていくようなのです。


 どのような人間も死ねばこのように朽ちていく。それはどのような貴人や美人も変わらない。九相図という絵にはそのような教えが込められているように思います。


 肉体への欲を捨て、肉体への執着を消すために、その戒めとして、この絵は描かれているのではないでしょうか。仏教において、そのように必要を感じて描いた人が居たはずです。


 仏教に限らず、宗教は人の心を救おうとする過程でおどろおどろしい世界を覗くことがあるのでしょう。そうして、恐ろしい世界から目を離さず何かの形にしようとしたものが、九相図のような形を持つのだと考えられます。


 九相図は現世の死体を描いたものですが、仏教では死後の恐ろしい世界が描かれることもあります。そう、地獄道の絵です。他には餓鬼道の絵なんかも怖いですね。


 僕は仏教にそこまで詳しいわけではないのですが、六道輪廻の考えからして、現世や地獄、その他の世界で人は生と死を繰り返し、永遠に苦しむ輪の中に居ます。だからこそ、仏教ではこの輪の中からの解脱を目指すんですね。


 素人が思うままに語っているので、それは違うよ。という、ところがあったら、ごめんなさい。


 ただ、おどろおどろしい芸術に僕は惹きつけられます。

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