エピローグ

「まあまあ、そのような冒険譚があったのですね!」


 第4王女アリーゼ様がメイガス村跡地で起こったことを、面白いことのように言う。


「そんな大層な話ではありませんよ」

「そうかしら。心象世界でドラゴンに会い、お兄様と共に封印の補強。実に素晴らしい話ですわ」


 あの日から私はこのお屋敷に戻り、前のように日々を過ごしています。


 時折、マークライト家の者が訪れてきます。


 そして今日も──。


「あら、誰か来ましたわ」


 ドアがノックされ、私は席を立ちます。


「きっとお兄様よ」


 私はドアを開けると、そこには──。


「遊びにきたよ」


 訪問者はエルザ様でした。そしてその後ろには──。


「すまない。うちのエルザにせがまれてな」

「あら、本当は用があってのことでは?」


 と、アリーゼ様が言います。


「なんだ、お前もいたのか?」

「あら? 私がいて不都合でも?」

「別に」

「さ、中へどうぞ」


 私はエルザ様とアデル様を屋敷へと誘う。


「焼き菓子持ってきたよー」


 エルザ様がバスケットを掲げます。


「ありがとうございます」

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第3王子が亡くなり、未亡人になった私は、なぜか第1王子に溺愛される!? 赤城ハル @akagi-haru

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