第7話 花谷姉妹の休日1

 やっとこの仕事に慣れてきた。これもお姉ちゃんのお陰だろう。何かと私はお姉ちゃんに助けられて生きてきた。


 そして今日は日曜日だ。さて自由な休日だけど暇だなぁ、何しよ?このまま過ごすのもいいけど……


「……椿、暇だし、どこか近場の観光地でも行こ」


 お姉ちゃんに言われる。近場に観光地なんてあるかな?


「行きたい場所……思い付かない。近場に何もないから」


 全く行きたい場所が思い付かない。でも暇だから、どこか行きたい。


「そうそう。江戸川区、何もないからね」


 私たちは笑いながら地元の区を自虐する。


「あ……そういえば、あるわ。あそこ行こ」


🪻🪻🪻


 やっぱり江戸川区の観光スポットと言えばここだよね。東京三大タワーの一つ……船堀タワー!


「……さて、何も考えないで船堀タワー来たけど、どうしようか?」 


 お姉ちゃんって意外と先のことを考えてない気がする。なんかいつからか気まぐれっぽくなったような。


「まあタワー上ればいいんじゃない?」


 船堀タワーから見下ろす景色は綺麗だし、見に行きたい。そして何より船堀タワーの展望台は無料である!無料で100m以上の高さに行ける……もう最高じゃん。


「……やっぱり何回、見てもいいよね。ここから見える風景」


 うんうん。北には、江戸川区とか葛飾区が見えて、南には、葛西臨海公園があって、東には、千葉県の浦安、そして西には、都心部。見る方向によって色々楽しめるのもいいんだよね。


「こうやって見ると私たちって小さく感じるよね。私たちの人生なんて所詮、この景色の一部だって思ったの……」


 なんかお姉ちゃんが語り出した。こういう時は、そうだねーと共感してあげる。そうしないとお姉ちゃんのメンタルがやられちゃうから。


 いつもお姉ちゃんに守られてる分、私もお姉ちゃんを守らないと。なんかそう考えると私たち、相思相愛な気がする。


「……そろそろ降りようか」


 エレベーターで降りていく。意外とこのエレベーターって早いよね。


「さて……どこ行こ?」


 また考えなかったんか。こんなんでお姉ちゃん、大丈夫か?……いつか、もしお姉ちゃんに恋人とか出来た時、デート相手の人、大変そう。


「映画館行かない?」


 私はお姉ちゃんに提案する。なんと船堀タワーことタワーホール船堀には映画館まで設備されているのだ。


「そうだね、行こっか」


 私たちは映画館に行く。そういえば見たい映画決めてなかったな、どうしよ?


「お姉ちゃんはなんか見たいもんある?」


 お姉ちゃんってどういうの好きなんだろ?あんまり考えたことなかったな。


「あ、これ良いね!姉妹のラブロマンス」


 ん?お姉ちゃんがニヤりとそれを指差した。そしてチケットを買い、それを見ることになった。誰かこのお姉ちゃんを止めてほしい……

 

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