第6話 誤解だからね!?

「……椿が可愛いからだよ。抱き締めることによって私の疲れは癒されるし、椿も寂しくなくて嬉しいでしょ?」


 お姉ちゃんが後ろから私を抱き締めて、頭を撫でてくる。前々から思っていたんだけどお姉ちゃんって、もしかしたら意外とシスコンなのかもしれない。


「お姉ちゃん、そろそろ離して……」


 そろそろお客様来るだろうし、こんなにお姉ちゃんに愛されてるところを誰かに見られたら誤解を招くかもしれない。


「……離さないよ。だって椿が可愛いんだもん」

 

 お姉ちゃん、完全にシスコンだわ。なんか、昔よりシスコン度が上がってるかも。


「……藤花さん、妹としてるんですか!?……お客さんいますよ」


 お客さんがいることを蘭くんに言われて私とお姉ちゃんが戸惑う。あー、人に見られちゃったよ。どうしよ……


「蘭くん、誤解だからね!?私とお姉ちゃん、してたわけじゃないからね!?」


 完全に誤解されてる気がするので、私は言う。


「え?椿さん、って何ですか?」


 あれ?そういうことじゃなかった?もしかして誤解してたのは私の方だった?


「やめてあげて、椿!……蘭くんは、まだ純粋な心を持ってるの」


 お姉ちゃんが笑いながら言う。蘭くんって純粋な心をまだ持ってたんだな。それをこんな誤解しちゃって私、最低だ。


「ちょっと二人とも、お客さん待ってますよ。よく分からない話はやめて、行ってください」


 蘭くん、何も分かってなさそうだ。この子は、まだ純粋でよかった。とりあえずお客様の方へ向かう。


🪻🪻🪻


「仲良いんですね、このお店の店員さんたち。見ていてなんだか幸せな気持ちになりました」


 お客様、待たせていて怒られるかと思っていたからよかった。


「何、買いに来ました?」


 今回も優しそうなお客様でよかった。もうクレーマーだけは嫌。


「実は私、椿とかの花束を買いに来た人の嫁なんです。花束、作っていただきありがとうございます、夫から貰えたのが嬉しかったです」


 こうやって花を貰った人が直接お礼を言いに来るのも珍しくはない。こういうパターンだとさらに嬉しい気持ちになれるので良い。


「それで私からも夫にプレゼントしたいと思い、買いに来ました」


 やっぱりラブラブだった。どういう花にしようかな。前回使ったものは、無しで……。


「フリージアとかどうでしょう?"親愛の情"と"感謝"が花言葉です」


 さらにピンク色にすれば、前回のピンクの薔薇と一緒に置けばなんか良い感じになるはず。


「それにしたいです」


 お幸せに、と思いながらありがとうございましたと言う。


 

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