第弐章・"向日葵"の憧れ
第9話 憧れと向日葵
「あ!花谷藤花さん!……でしたっけ?」
私は今、この花屋を始めたきっかけの憧れの人と再会した。この人に背中を押されて私は花屋になったんだ。
「……そう、あの時の人です!……あ、それで
おっと。私としたことが一人で盛り上がって喋ってしまった。
「えーとね……憧れって花言葉の花とかってあります?」
憧れ……よくある花言葉だが、やはり有名なのは、これだろう。
「……向日葵とかどうです?」
向日葵ならあまりネガティブな印象もないから良いと思う。他の花言葉も"あなただけを見つめる"とか良い意味だし。
「あ、いいですね!あの子には向日葵みたいに目立てるようになってほしいし……」
そう言えば誰に渡すか聞いてなかったな。
「ちなみに誰に渡すんですか?」
家族とか親友とか色々な人に対して憧れって感情向けることはあるけど、どんな人に渡すのかな?
「
ああ、夏月さんに渡すのか。まあ納得だ。何も知らない私が憶測で語るのもあれだが、春花さんは夏月さんに憧れという感情を持つと思う。
「ありがとね、藤花さん!ちょっと家に帰って作業したいのでさよなら!」
「……今度は是非、夏月さんも連れて来てね」
春花さんが帰っていく。その時、私は気付いた。サイン貰い忘れたことに。
🪻🪻🪻
「……ねえ、一つ疑問があるんだけどいい?」
椿がじっとこちらを見つめながら言ってきた。
「画面の前のみんなも思ってるんだろうけど……さっきの人たち、誰?今まで出てたみたいな雰囲気だったけど……」
急にメタ発言をしてきた椿には驚いたが触れないでおこう。確かに、春花さん達について誰も知らないよね。
「さっきの春花さんとの出会いについてちょっと語るね」
急に私が語り出したのに皆は聞こうとしてくれてる。なんて良い仲間たちだ。
🪻🪻🪻
――あの日は、数年前のいつの日かと同じ秋時雨の日だった。
親友の玲奈が失踪してからちょうど2年、何をやるにも気力がなかった。
食事は喉を通らず、元々、痩せていた身体が、さらに少しずつ痩せ細っていく。
睡眠時間も十分にとれない。外で吹く風の音は涙を誘い、秒針の音は寝れない私を笑うように聞こえた。
私にとって玲奈がどれだけ大切な存在だったのかよく分かった。玲奈がいない生活なんてなくなってしまえば良いと思っていた。
そう思った私は、近くの川……玲奈が失踪した
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