友達か……

友達って、俺が決めるんじゃない


あんたが決めることだろう


簡単に友達とは口にしたくないんだ


俺には友達なんざ一人もいねぇ

そうだ、一人もいないんだ


一瞬、これが友達なのかと思うときがある

でも、ほんの一瞬

つかの間ってやつよ

すぐに違ったと気付く

それはただの夢だったとね

幻想を抱いたんだ

悪くねぇ幻想だけど……

それが、夢だったと気付くと

たまんなく虚しいんだ


おかしな話だけど

今まで友達がいなくて

友達ってどんなもんかさしてわからない俺なのに

それが友達じゃないと気付いたり

夢だとわかったりするんだぜ


何だか、おかしいじゃんかよ……

友達なんて、いたためしがなかったのにさ

そうさ、おかしいんだよ。

友達のことを知ってるなんて……


今までは

友達って言葉に当てはまらない連中ばかりとの付き合いだった

きっとこれからもな……

やつらのことを、友達なんて言葉で呼びたくはねーんだ


友達なんかじゃなくて

ただ、その時にそばにいてくれて

笑ってくれりゃ

誰だってかまわねーんだ

くだらねぇ冗談を飛ばし

ちっとも笑えねぇのに……俺はきっと笑っちまう


かつては……

俺にも友達と思えるヤツがいたんだろうな

今はもう会えないヤツばかりなんだけど……

ヤツらのことを、俺は今でも友達と思い続けているから

だから、きっと友達があれ以来できねぇし

簡単には認めたくないんだな


それに、友達のことは話したくないんだ

あいつらの輝き

あいつらの記憶をさ


簡単に言葉にしてしまうと、俺の宝もん無くしちまいそうで

これだけは誰にも気付かれない場所に隠して、そっとしておきたいのさ


友達は夢なのかもしれねーな

友達がこのうえなく大切だというとき

俺は、過去に向いてるよ


前を向いて、いってみたいと思うこともあるが……

前と後ろ、両方見つめられる程器用じゃねぇから


だから……いいじゃねぇか、別に

今は誰も友達なんていなくっても

そう思うんだ


振り返って、それが友達と思えるヤツがいたことを覚えている

後になってから、それが友達だったと気付くのさ

その時には、そんな夢みたいな友達でも

いてくれたことに感謝するぜ


お互いの心に根を張れる関係なんてそうはないんだよ

だから……



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