ずっと心の奥でうずくまっていた僕に、夜明けを告げて

宇塩徒古

第1話 凱歌

春を告げ、美しく鳴り、燃える。


全て必要だった。

あの緊張も、感動も、嬉しさも、熟考も、喜びも、決断も。

悲しさや、嫌悪、涙でさえ。

何一つ、欠けていたらきっと今はないんだろう。

そう思いたい、そう思うことが原動力なのだから。


吹雪の中、助けてくれとさまよう君を。

真夜中、海辺のベンチでうずくまる君を。


大丈夫だ、と。

俺が君を助けるから、もう全て大丈夫なのだと、抱きしめられるように。


そうしてようやく、大きな一歩を踏み出した時。


ほら、やっぱり。俺の中にずっといたんだよ。

視線やリスクや未来のために、うずくまっていた僕が。


自信を持って死ねるために。

俺が僕であると、僕が君であって、君が俺であると言うために。

俺が君を助けるために。

君の人生に意味を持たせるために。



ありがとうございます。それでは。















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ずっと心の奥でうずくまっていた僕に、夜明けを告げて 宇塩徒古 @buffa

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